このフランクフルト公演は古くからの超有名音源ですが、そのほとんどが2ndジェネを元にしており、「In The Mood」に劣化が見られたり、曲が足りないものばかりでした。ところが、2007年に1stジェネマスターが発掘され、「FRANKFURT 1979 MASTER(TRIAL-239)」としてリリース。劣化がないどころか、曲順もピッチも正しく、フルショウをオフィシャル級の美麗サウンドボードで聴けると大いに話題になりました。本作は、その「FRANKFURT 1979 MASTER」で使用された1stジェネマスターをリマスターで蘇らせたファン必聴盤。
オフィシャルでリリースされても不思議はない、超・超決定盤となった本作ですが、その中身もRUSH史上でも特筆ものの凄まじさ。このツアーはRUSH史上でも「大作プログレ時代の総決算」で名高い。「2112」「A FAREWELL TO KINGS」「HEMISPHERES」の三部作で大作主義の頂点を極めたRUSHの総まとめが1回のライヴにギュウ詰めされているわけです。なにしろ、約2時間のセットリストの中に約10分の「Cygnus X-1」「La Villa Strangiato」、12分の「Xanadu」、20分弱の「Hemispheres」「2112」……と、なんと5つもの大曲がぶち込まれているのです。2枚のアルバムで綴られた「Cygnus X-1」「Hemispheres」連作が、オフィシャル級のステレオ・サウンドボードで一気に繰り広げられる……この濃厚なプログレ味はハンパではありません!(この「Sygnus X-1」と「Something For Nothing」は、1979年欧州ツアーでは殆ど演奏されておらず、別日の音源という可能性もあります)
実際、本作には小曲も大量に演奏されており、「A FAREWELL TO KINGS」からは「Cinderella Man」「Madrigal」以外の全曲、「HEMISPHERES」からは「Circumstances」以外の全曲が披露。濃厚なうえに広大なスペースオペラ世界をたっぷりと聴かせてくれます! その頂点ぶり、究極ぶりは、演奏にも現れ、緻密でありながらもパワフル。後のタイトでシャープなアンサンブルも最高にカッコイイのですが、本作のダイナミックなパフォーマンスこそ、RUSHがデビュー時代から持っていたもの。複雑な曲想をこなしながらも猛々しく轟くゲディ・リーのシャウト・ヴォーカル……やっぱりコレですよ! もちろん、ニール・パートもアレックス・ライフソンも若々しく、強烈なドライブ感のぶっとい音が塊となって迫る! 特に、あらゆるスタイルを網羅したラストのドラム・ソロと来たら……言葉を失ってしまうほどの凄まじさです。
「ALL THE WORLD'S A STAGE」「EXIT STAGE LEFT」が問答無用の超名盤であることにまったく異論はありません。しかし、“TOUR OF THE HEMISPHERES 1978-1979”があまりにも集大成で究極的だからこそ、オフィシャルで残してほしかった……本作は、そんな想いを叶えてくれる1本です。幾多の変遷を重ね、その都度素晴らしい音楽を創造し続けたRUSH。その広大な音楽世界は、“プログレ・ハード”などという枠を遙かに超えています。しかし、やはり「プログレ・ハードの雄」だった彼らが恋しくてたまらないのも本音。その想いを共感してくださる方には、本作は究極のライヴアルバムとなるでしょう。
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