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輸入盤 カリギュラ究極版 (2023) マルコムマクダウェル 劇場公開版/イタリア版含む5バージョン 映像特典3時間超収録 4K UHD+Blu-rayセット

  • 商品數量
    1
  • 起標價格
    1円
  • 最高出價者
    ado******** / 評価:1526
  • 開始時間
    2026年06月08日 22時13分(香港時間)
  • 結束時間
    2026年06月14日 22時12分(香港時間)
  • 拍賣編號
    u1232811177
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オーストラリアのインディーズ・レーベル Umbrella Entertainment からリリースされた映画『カリギュラ 究極版(原題:Caligula: The Ultimate Cut / 2023年製作)』の4K UHD+Blu-rayコンボセットは、本編の圧倒的な情報量(5つのバージョンを収録)に加え、新撮のドキュメンタリーや貴重なアーカイブが大量に詰め込まれた、まさに「決定版」と呼ぶにふさわしいボリュームです。
音声特典と映像特典の詳細を項目別に解説します。

音声特典(Audio Commentaries)

本作の最大の特徴である「究極版」の成立過程や、公開当時の狂乱を振り返る音声解説が複数収録されています。
  • ヘザー・ドレイン(映画評論家)による新規オーディオコメンタリー
    • 映画史、そしてカルト映画に造詣の深い彼女が、本作の歴史的な位置づけや、なぜ40年以上経ってこの「究極版」が必要だったのかを批評的視点から解説します。
  • マルコム・マクダウェル(主演)によるオーディオコメンタリー(聞き手:ニック・レッドマン)
    • 主役のカリギュラを演じたマルコムが、当時の過酷な撮影現場、ティント・ブラス監督や製作者ボブ・グッチョーネ(ペントハウス誌創刊者)との確執などを赤裸々に語る貴重なアーカイブ解説です。
  • ヘレン・ミレン(女優)&アラン・ジョーンズ&ジェームズ・エリス・チャフィンによるオーディオコメンタリー
    • 名女優ヘレン・ミレンらが参加。当時のアート映画とポルノが融合していく歪な制作環境について、キャスト側の視点から振り返ります。
  • アーネスト・ヴォルクマン(セットライター)によるオーディオコメンタリー(聞き手:ナサニエル・トンプソン)
    • 現場の様子を文字通り「内側」から見ていたライターによる、生々しい現場のドキュメントが語られます。

映像特典(Video Extras)

新規に制作されたコンテンツと、過去のリリースから集められた膨大なアーカイブの2層構造になっています。

新撮・新規映像特典(NEW! Extras)

「究極版」のプロデューサーであるトーマス・ネゴヴァン(Thomas Negovan)らを中心とした、修復と再構築の裏側に迫る映像が目玉です。
  • 『Caligula: The Rise, Fall & Resurrection』(約40分)
    • ジャレット・ガハンによるビデオエッセイ。映画の誕生から、世界的なスキャンダル、そして今回の「復活(究極版)」に至るまでの波乱万丈な歴史をまとめた映像。
  • トーマス・ネゴヴァン&アーロン・シャップス 『究極版』を語る(約60分)
    • オリジナルネガから「本編で一度も使われなかった別テイク」のみを全編にわたって発掘し、映画をゼロから再構築したという狂気のプロセスを解説する対談。
  • トーマス・ネゴヴァン on カンヌ国際映画祭(約60分)
    • カンヌでのプレミア上映時などの様子をフィーチャーしたドキュメンタリー。
  • ファンタスティック・フェスティバル 2023 Q&Aセッション
    • 上映後に行われた、主演のマルコム・マクダウェルとプロデューサーのトーマス・ネゴヴァンによるQ&A(質疑応答)の模様を収録。

アーカイブ映像特典(Archival Extras)

過去のバージョンに収録されていた、数時間にも及ぶ膨大な記録映像です。
  • ティント・ブラス監督インタビュー “The Power of the Orgy”
    • のちに作品を一蹴することになるオリジナル監督ティント・ブラスが、自身の芸術的野心について語ったインタビュー。
  • メイキング・オブ・カリギュラ(The Making of Caligula)
    • 当時のセットの様子や撮影風景を記録した貴重なビハインド・ザ・シーン。
  • 「グッチョーネ・スキャンダル」フィーチャレット
    • ボブ・グッチョーネが撮影後に勝手に挿入したハードコア(露骨な性描写)シーンを巡る騒動と、キャスト・スタッフらの反発を捉えたドキュメント。
  • 未公開シーン・別テイク集・インタビュー集
    • ジョン・スタイナー、ロリ・ワグナー(ペントハウス・ペット)、そして脚本を(名義剥奪されたものの)執筆した名作家ゴア・ヴィダルらの個別インタビュー。
  • スチールギャラリー & オーディオポッドキャスト(約30分)
  • 新・旧 劇場予告編(New Theatrical Trailer & Restored Original Trailer)

【補足】特典としての「本編5バージョン」

Umbrella版の最大のアドバンテージは、この特典映像の多さに加え、ディスク4枚(一部限定版の構成による)の中に「ありとあらゆる『カリギュラ』のバージョン」を網羅している点にあります。
  1. カリギュラ 究極版(The Ultimate Cut / 173分) ★4K HDR収録
  2. 無修正・完全版(Unrated Uncensored Cut / HD 156分) ※従来の劇場公開版
  3. イタリア公開版(Io, Caligola: The Italian Cut / 初HD化 124分)
  4. プレリリース版(Pre-release cut / HD 153分)
  5. オーストラリア公開版(Australian Rated Cut / SD 102分)
単なる映画のパッケージを超えて、「映画史における最大のミステリーとスキャンダル」を解剖するための資料集のようなクオリティとなっています。

映画史にその悪名を轟かせる『カリギュラ』が、40年以上の時を経て「本来あるべきドラマチックな姿」へと再構築された『カリギュラ:アルティメット・カット(カリギュラ 究極版)』。この修復プロジェクトは、プロデューサーのボブ・グッチョーネが商業(ポルノ)目的で挿入したハードコアシーンなどを完全に排除し、ゴア・ヴィダルのオリジナル脚本に沿って未公開のNGテイクや別アングルから映画を一本丸ごと組み立て直すという、前代未聞の試みです。
しかし、海外でのUHD/Blu-rayリリースにおいては、各国の配給会社(インディーズレーベル)の姿勢によって「映画史に残る大盤振る舞い」「映画史に残る大やけど(炎上)」という、天と地ほどの差が生まれました。
さらに、2026年9月2日にハピネット・ピクチャーズから発売される日本国内盤は、これら海外盤の複雑な経緯を踏まえた上で、日本の視聴環境に最適化された「非常にソリッドな単発仕様」となっています。
これら① オーストラリアUmbrella(アンブレラ)版② 米国Drafthouse(ドラフトハウス)/ Unobstructed View版、そして③ 日本のハピネット版の3つの違いについて、収録カット、画質・音質のクオリティ、特典内容、そして海外で起きたトラブルの背景を含めて徹底的に詳説します。

1. オーストラリア:Umbrella(アンブレラ)版の詳説

〜ファンが絶賛した「カリギュラ博物館」級の決定版〜
海外の映画オタクやコレクターの間で「これこそが真のカリギュラ・コレクションだ」と大絶賛されたのが、オーストラリアのインディーズレーベル「Umbrella Entertainment」がリリースしたボックスセットです。

① 圧倒的な「5つのカット」全収録

Umbrella版の最大の強みは、映画『カリギュラ』の歴史を1つのパッケージで網羅できる点にあります。収録されているのは以下の5カットです。
  • アルティメット・カット(173分 / 4K UHD & Blu-ray):
    トーマス・ネゴヴァンが発掘された膨大なラッシュフィルムから再構築した2023年版の最新カット。
  • 無修正劇場公開版(Unrated Uncensored Cut / 156分 / Blu-ray):
    ボブ・グッチョーネがハードコアポルノシーンを追加し、1980年にアメリカなどで公開された最も有名なバージョン。
  • プレリリース版(Pre-release Cut / 153分 / Blu-ray):
    グッチョーネがポルノシーンを挿入する前、ティント・ブラス監督の当初のビジョンに比較的近い編集が施されていたとされる幻のバージョン。オープニングや中盤の構成、キャラクターの描写が劇場版と大きく異なります。
  • イタリア公開版(Io, Caligola / 124分 / Blu-ray):
    イタリア国内でのみ合法的に流通していたカット。マルコム・マクダウェルやヘレン・ミレンの声がイタリアの声優に吹き替えられているものの、ティント・ブラスが制作したワークプリントの構成が色濃く残る非常に珍しいバージョンです(今回初のHD化)。
  • オーストラリア劇場公開版(102分 / SD画質):
    当時のオーストラリアの検閲によってズタズタにカットされた、歴史的資料としてのバージョン。

② 画質・音質クオリティと「ディスク交換騒動」

画質に関しては、マスターに忠実であり、非常にクリーンで鮮明な4K HDR映像を提供しています。Drafthouse版のような無理な引き伸ばし感や致命的なフィルムの傷はなく、グレイン(映画の粒子感)も自然に残されています。
ただし、初期プレスにおいて「音声トラックのオーサリングミス(一部のチャンネルで声が極端に小さくなる、またはBGMとセリフのバランスが崩れる)」が発生しました。これに対し、Umbrella社は即座にミスを認め、購入者に対して修正版ディスクの無償交換対応(リプレイスメント・プログラム)を実施しました。この真摯な対応により、コレクターからの信頼をさらに高めることになります。

③ 付属物の豪華さ

限定仕様のボックスには、200ページを超えるハードカバーの解説本、映画が製作された当時の「Penthouse」誌のレプリカ、ノベライズ本などが同梱されており、物理的なコレクションとしても最高峰のクオリティを誇りました。

2. 米国:Drafthouse Films / Unobstructed View版の詳説

〜誤表記と低クオリティで大炎上した「問題作」〜
一方で、北米市場向けに発売されたDrafthouse版(カナダの配給会社Unobstructed Viewがディスク製造・流通を担当)は、発売直後から海外のフォーラム(RedditやBlu-ray.comなど)で大炎上することになりました。

① 「無修正」と偽って「検閲版」を4Kスキャンした大失態

Drafthouse版は当初、「アルティメット・カット」に加え、「1980年のオリジナル無修正劇場版(156分)も世界初の4K UHD化して収録する」という触れ込みで予約を募っていました。ファンは「あの無修正版が4Kで観られる!」と歓喜したのですが、いざ届いたディスクを再生すると、とんでもない事実が発覚します。
なんと、彼らが4Kスキャンに使用したフィルムは、オリジナルの156分無修正版ではなく、当時アメリカのボストンなどの地方やイギリスの検閲を通すためにポルノシーンや過激描写をすべて間引いた「150分のクリーン(検閲)版」のポジプリントだったのです。

② 目も当てられない最悪の画質

さらに最悪だったのは、その劇場版4Kディスクのクオリティです。ネガフィルム(原版)ではなく、映画館を巡回した後のような質の悪い上映用ポジプリントをそのままスキャンしたため、画面は終始暗く、泥を塗ったようにくすんでおり、無数の傷(ポジキズ)やゴミが映り込んでいました。映像はガタガタと不安定で、音声の途切れも頻発。海外のレビュアーからは、
「Blu-rayどころか、出来の悪いDVDの方がマシ」「ホームビデオの歴史の中で最悪のトランスファー(映像転送)」
と酷評される始末でした。

③ 配給会社の不誠実な対応と小売店の悲劇

この事態に対し、製造元のUnobstructed View社はミスを認めず、「これが正しい劇場版だ」と言い張る不誠実な態度を取りました。
結果として、アメリカの大手インディーズ映画通販サイト「DiabolikDVD」などの小売店が、激怒したユーザーからの返品ラッシュに巻き込まれ、店舗側が独自の判断で返金に応じるなど、業界全体に大きな泥を塗る結果となりました。
Drafthouse版の唯一のメリットは、新規制作された劇伴(サウンドトラック)のCDが同梱されていることと、アルティメット・カット(4K)自体の音声には問題がなかったことくらいです。劇場版や過去のカットを目当てにこのバージョンを買った人は、文字通り「大やけど」を負うことになりました。

3. 日本:ハピネット・ピクチャーズ版(2026/09/02発売予定)の詳説

〜トラブルを回避し、本編のみに絞った「国内最適化仕様」〜
これら海外での凄まじい混乱(2024年秋)を経て、2026年1月にようやく日本で『カリギュラ 究極版』として劇場公開が実現。そして、2026年9月2日にハピネット・ピクチャーズから待望の国内盤Blu-ray&DVDが発売されます。
国内盤の仕様は、海外盤の教訓を活かした、あるいは日本の市場規模に合わせた非常にドラスティックな「選択と集中」が行われています。

① ディスク構成は「アルティメット・カットのみ」の1枚組

ハピネット版は、海外のUmbrella版のような「過去のカット盛りだくさんの4枚組」ではありません。「アルティメット・カット(約178分表示)」1バージョンのみを収録した、シンプルな1枚組(Blu-rayまたはDVD)です。
これは一見、物足りなく感じるかもしれませんが、海外盤の「音声ミス」や「偽の劇場版4Kによる炎上」といった技術的・権利的なトラブル要素を完全にシャットアウトし、「2023年最新のアルティメット・カットを、日本のプレイヤーで確実に、かつ日本語字幕付きで観る」という目的において、最も安全で信頼性の高い仕様となっています。

② あえての「4K UHD見送り」と「1080p Blu-ray」の理由

ハピネット版は、4K UHDディスクでの発売はなく、通常の「1080p Hi-Def ブルーレイ」でのリリースとなります。
これには日本のパッケージ市場の規模(4K UHDの普及率)もありますが、もともと『カリギュラ』のアルティメット・カットは、廃棄寸前だった大量のラッシュフィルムや別テイクを繋ぎ合わせたものです。そのため、いくら4Kでスキャンしていても、打撮りされたテイクの元々のピントやフィルムの状態により、現代の最新映画のような「超高精細な4K映像」になりにくいという特徴があります。
実際、海外盤のレビューでも「4Kとしての恩恵はHDR(色彩の明暗表現)にはあるが、解像度自体はBlu-rayとそこまで劇的な差はない」と指摘されていました。ハピネットはこれを踏まえ、最も安定して高画質を維持でき、かつユーザーが手に取りやすい価格(税抜5,000円)に抑えられる通常のBlu-rayを選択したと言えます。

③ 音声仕様の安定性と日本語字幕

ハピネット版の最大の武器は、当然ながら「公式な日本語字幕」がついていることです。
海外盤(Umbrella版など)を輸入して観る場合、登場人物たちが入り乱れる膨大な宮廷劇・政治劇を英語字幕(あるいはイタリア語版はイタリア語音声+英語字幕)で追わなければならず、ストーリーの理解に高いハードルがありました。
音声は、アルティメット・カット用に新録されたステレオ音声を「DTS-HD Master Audio 5.1chサラウンド」および「2.0chステレオ」で収録。Umbrella初期盤にあったような音声のオーサリングミスは完全に修正されたマスターを使用しているため、安心してマルコム・マクダウェルらの本来の演技(※アルティメット・カットでは当時の現場録音から彼らの生の音声が復元されています)を堪能できます。

5. 結局、どれを買うべきか?(購入ガイド)

最後に、あなたがどのクオリティや体験を求めているかによって、最適な選択肢を提案します。
  • 「カリギュラ」という映画の歪んだ歴史、過去のポルノ入り劇場版や幻のカットも含めてすべてを手に入れたいマニアの方
    Umbrella版(オーストラリア盤)の一択です。ただし、購入する際は必ず「音声修正済みディスク(Corrected Disc)」を販売している信頼できるショップ(Orbit DVDやDiabolikDVD、あるいはUmbrella直販)から手に入れる必要があります。4Kディスクはリージョンフリーですが、付属の特典Blu-rayを再生するにはリージョンフリーの再生環境(プレイヤーなど)が必要です。
  • Drafthouse版(米国盤)は買うべきか?
    絶対に避けるべきです。「4K劇場版」という嘘に騙されたユーザーの怒りが示す通り、コレクションとしての価値は著しく低いです。
  • 英語字幕での視聴が難しく、2023年最新の「映画としての正しいカリギュラ」を最高の視聴環境でストレスなく楽しみたい方
    2026年9月2日発売の「ハピネット版(国内盤Blu-ray)」を待つのが正解です。4K UHDではないものの、1080pフルHDの画質は十分に美しく、5.1chサラウンドと正確な日本語字幕によって、この映画が本来持っていた「狂気の歴史ドラマ」としての側面を最も深く味わうことができます。

第一章:血と精液の迷宮――オリジナル版の呪われた出生

そもそも、『カリギュラ』というプロジェクト自体が、最初から歪んだ結合によって生まれた畸形児であった。
歴史の闇に埋もれたその誕生を振り返れば、背筋が凍るような野心が渦巻いている。当代きっての知性派作家であり、鋭利な政治的視点を持つゴア・ヴィダルが書き上げた格調高いシナリオ。それを映像化するために招かれたのは、イタリアのエロティシズムの巨匠でありながら、権力への激しい反逆精神と独自の映像美学を持つティント・ブラス。さらに、ハリウッドや英国の名優たち――マルコム・マクダウェル、ヘレン・ミレン、ピーター・オトゥール、ジョン・ギールグッド――が集結した。この時点で、作品はイギリスの伝説的歴史劇『私はクラウディウス』にも匹敵する、至高のローマ帝国衰亡史となるはずだった。
しかし、そこに莫大な資金を投じた男の存在が、すべての歯車を狂わせる。成人向け雑誌『ペントハウス』の創刊者であり、エロスの帝国を築き上げた大富豪、ボブ・グッチョーネである。
グッチョーネの目的は、格調高き歴史劇の皮をかぶった、世界最高の「ハードコア・ポルノグラフィ」を創り出すことにあった。美の探求者であるブラスと、性の扇動者であるグッチョーネ。この二人の思想が融和するはずもなかった。撮影現場は混沌を極め、監督の与り知らぬところで、プロデューサーたちの手によって露骨な性描写が、あとからあとからフィルムの肉体に「挿入」されていったのである。
結果として1979年に解き放たれた『カリギュラ』劇場公開版は、まさに異形であった。名優たちが重厚な演技を披露しているそのすぐ次の瞬間、画面は唐突に、プロのポルノ俳優たちによる赤裸々な愛液の交歓へと切り替わる。重厚なドラマからペニスを咥え込むシーンへの、あまりにも乱暴な移行。映画の体裁はズタズタに引き裂かれ、批評家ロジャー・イーバートは試写会の途中で激怒して席を立ち、監督であるティント・ブラス自身も「これは私の映画ではない」と作品を拒絶し、法的手段に打って出ることとなった。
それから40年以上の時が流れた。映画は「映画史に輝く壮大な失敗作」としてカルト的な人気を誇る一方で、その本来あるべきだった姿、すなわち「ポルノ挿入前の、純粋なる芸術的ビジョン」への渇望は、映画オタクたちの間で半ば伝説のように語り継がれてきたのである。

第二章:パラレルワールドからの帰還――「究極版」という名の狂気

そして2020年代、ついにその「封印された真実」を解き放つという大プロジェクトが始動する。『カリギュラ:究極版』の誕生である。
このバージョンの最大の特徴であり、映画史における最大のアノマリー(異例)は、その編集方針にある。なんと、1979年のオリジナル版で上映されたカットやテイクを「一コマたりとも使用しない」という、常軌を逸した制約のもとで作られているのだ。撮影現場に残されていた膨大なフィルムの缶――そこには、一発でOKが出た派手なテイクの裏で眠っていた、数々の「別テイク(オルタネイト・テイク)」が眠っていた。
この「究極版」のメガホンを取る、いや、編集室に籠もることになったのはトーマス・ネゴヴァン。彼は伝統的な映画監督でもなければ、ハリウッドの老練な編集技師でもない。いわば、この呪われた映画の持つ退廃的な魅力に憑りつかれた、熱狂的なコレクターであり、文化的な仕掛け人であった。
ネゴヴァンは、グッチョーネが付け足した下俗なハードコア・シーンを外科手術のように綺麗に削ぎ落とした(De-pornified)。それだけではない。かつての劇場公開版が、観客を刺激するために「最も大げさで、最も狂気に満ちた、オーバーな演技のテイク」ばかりを選んでいたのに対し、ネゴヴァンは、マルコム・マクダウェルがより繊細に、哀哀たる人間の苦悩や、権力の重圧に押し潰されていくプロセスを演じていた「静かなテイク」を意図的に選択していった。
その結果、何が起きたか。
画面に映し出されるマルコム・マクダウェルの演技は、完全に別物へと変貌を遂げたのである。かつてのカリギュラが、ただ目を剥いて叫び散らすだけの「記号化された狂王」だったとするならば、この究極版における彼は、あまりにも巨大な権力を突然与えられ、その絶対的な孤独のなかで精神の平衡を失っていく、脆く、傷つきやすいパフォーマーのようである。彼がセットのなかを飛び回り、狂言を弄する姿は、まるで既存のシステムそのものを嘲笑し、破壊しようとする、命がけのパフォーマンス・アーティストの輝きを放っている。
さらに特筆すべきは、ヘレン・ミレンの存在感の「爆発」である。オリジナル版において、彼女の演じるカエソニアは、単なる皇帝の身の回りを彩る「トロフィー・ワイフ(愛玩用の妻)」に過ぎず、上映時間もわずか20分程度に甘んじていた。しかし、この究極版において、彼女の出演シーンは約57分へと大幅に拡大された。
ここで我々が目撃するのは、単なる従順な妻ではない。カリギュラという狂気の巨獣を裏から操り、あるいはその狂気に深く共犯していく、さながらシェイクスピア悲劇の『マクベス夫人』を思わせる、冷徹で気高い支配者の輪郭である。ヘレン・ミレンが画面に登場するたび、その圧倒的な演技力と美貌が、安っぽいエロティシズムを駆逐し、映画の格調を中世の叙事詩のレベルへと押し上げる。赤ん坊を出産する壮絶なシーンの、その生々しい全貌(すべて)をカメラが捉え続けるとき、我々はそこに、ポルノではなく、生と死が交錯する圧倒的な「神話的リアリティ」を見るのだ。
地面に首まで埋められた囚人たちの頭部を、冷酷な巨大草刈り機のごとき機械が容赦なく撥ね飛ばしていく、あの悪名高き処刑シーンすらも、この究極版においては、単なる悪趣味なショック映像を超えて、絶対権力がもたらす不条理な恐怖の象徴として、より陰惨に、より厳粛に響き渡る。

第三章:新たな陵辱、あるいは中性化への反逆――巨匠ティント・ブラスの不在

だが、この「究極版」を観進めるうちに、映画を愛する者の心には、ある種の「居心地の悪さ」と、激しい違和感が鎌首をもたげることになる。確かに、かつての粗悪なポルノ挿入は消えた。名優たちの演技は正当に評価されるようになった。しかし、これは本当に、我々が、そして何より監督ティント・ブラスが夢見た『カリギュラ』なのだろうか。
答えは、否、である。
ここに映画『カリギュラ』の持つ、二重、三重の呪いがある。 この「究極版」の制作をめぐる舞台裏のドラマは、1979年のそれと同じくらい、エゴと裏切りに満ちていた。
本来、このフィルムの救出劇において、真のヒーローとなるはずだった男がいた。映画研究家であり、何年もの歳月をかけて失われたフッテージを捜索し、ティント・ブラス本人とも深い信頼関係を築いていた若い映画監督、ピーター・トゥシュインスキーである。トゥシュインスキーは、ブラスが遺した半完成のワークプリントや直筆のメモをもとに、巨匠の「本来の芸術的ビジョン」を完全に復元するための緻密なリサーチを完了させていた。ブラス自身も、彼との協働であればと、ついに自らの呪われた過去と向き合う同意を与えていたのだ。
しかし、惨劇は再び起きた。フィルムの権利を握る『ペントハウス』社のCEOが交代した瞬間、すべての約束は反故にされたのである。新経営陣は、利権と自らの名声を誇示するため、トゥシュインスキーの長年の研究成果を事実上横取りしようとし、それに憤慨した彼はプロジェクトを離脱。ブラスもまた、新たな編集者となったトーマス・ネゴヴァンとの対話を一切拒絶した。
つまり、この「究極版」もまた、監督であるティント・ブラスの意志を完全に無視し、彼の頭越しに作られた「スタジオ主導の、合法的なファン・エディット(二次創作)」に過ぎないという残酷な事実である。
ネゴヴァンという男は、映画監督としてのティント・ブラスを本質的に尊敬していなかったのではないか。その編集の随所に、ブラスの持つ「肉体的なエネルギー」や「バロック的な過剰さ」に対する、冷淡な拒絶反応が見て取れる。
ティント・ブラスは決してポルノグラファーではないが、同時に、彼は世界の「性と肉体」の生々しさを過激に描くことで権力を風刺する、スキャンダラスな前衛作家であった。彼にとって、ヌードや放蕩行為は、カリギュラ治世の「底なしの堕落」と「真の恐怖」を表現するために、絶対に不可欠な美学(スタイル)の一部であった。画面の隅々で展開される猥雑な祝祭、肉体の蠢き――それらがあってこそ、映画は熱病のようなダイナミズムを獲得していたのだ。
しかし、ネゴヴァンは、現代の洗練された観客や、映画祭での「お上品な評価」を意識するあまり、そのブラス固有の泥臭いエネルギーを、まるで外科手術のように綺麗に切り取ってしまった。すべてのヌードは可能な限りフレームから外され、乱交シーンの熱気は冷まされ、偉大な美術デザイナーであるダニロ・ドナーティ(フェリーニの『カサノバ』でオスカーを受賞した天才)が作り上げた壮麗なセットの数々は、クロースアップの多用によって画面の隅に追いやられてしまった。
オリジナル版の強みであった、巨大なワイドショットから、ティント・ブラスのシグネチャー(署名)とも言える「女性の肉体への急激なズームイン」へと至るあの独特のカメラワーク。究極版において、ネゴヴァンはそのズームを「みっともないもの」として排除しようとした。しかし、あまりにも執拗に撮影されていたため切り離すことができず、結果として、ズームの途中でぎこちなく次のシーンへとフェードアウトしていくという、素人めいた編集の傷跡(ミス)が各所に残る結果となっている。
さらに、新しく付け替えられた音楽(スコア)が、映画のトーンを決定的に変えてしまった。本来、この作品は、あまりにも過激で、あまりにも誇張された「狂気の風刺劇(サタイア)」として高められるべきシーンが多々あった。マクダウェルの演技も、その狂ったような大げさな派手さ(フランボワイヤンス)によって、システムの不条理を暴くはずだった。
それなのに、究極版に流れるのは、陰気で、憂鬱で、重苦しい葬送曲のようなメロディである。ネゴヴァンは、カリギュラを単なる「精神の崩壊に苦しむ、シリアスで惨めな悲劇の主人公」として仕立て上げようとした。その結果、ボートでのオルジー(乱交)シーンなどは、確かに美しく撮影されたアートハウス映画(A24作品のような洗練)のようにはなったものの、オリジナルが持っていた、胸をかきむしるような「退廃の興奮」と「生々しい毒気」は、完全に中性化されてしまったのである。
これは、美しく磨き上げられた、しかし「魂の抜けたレプリカ」ではないのか。クソ(粗悪な映画)にどれだけ高級な艶を出したところで、その本質が歪んでいれば、それはただの「上品な失敗作」に過ぎないのではないか。そのような絶望的な溜息が、映画の端々から漏れ聞こえてくる。

第四章:ディスクに刻まれたもうひとつの戦場――4Kという名の幻影

この映画の呪いは、スクリーンの外、我々が手にするパッケージ(ホームビデオ)の物理的な現実の世界にまで伝染している。
この究極版がリリースされた際、熱狂的なシネフィルたちの間で巻き起こった大論争を抜きにして、現在の『カリギュラ』を語ることはできない。特にカナダの配給会社「アンオブストラクテッド・ビュー(Unobstructed View)」盤をめぐる騒動は、ボブ・グッチョーネの亡霊が、いまだにこの作品の周辺で金儲けのために狂奔していることを証明している。
彼らが「完全修復された4K」として大々的に売り出した劇場公開版のディスクは、まさにホームビデオ史上最悪の災厄(プレゼンテーション)であった。画面は汚れた雑巾のようにくすみ、プリントの傷が全編にわたって走り、映像は激しく揺れ、音声はブツブツと途切れる。それは、4Kはおろか、一昔前の粗悪なDVD以下のクオリティであった。彼らは、リマスターのためのまともなオリジナル・ネガすら用意できず、どこかの地方劇場(ボストンの片隅とも噂される)に眠っていた、検閲済みの低品質なイギリス公開版のプリントをただスキャンし、「無修正4K」という嘘のラベルを貼って市場に放り出したのだ。
インディーズの素晴らしい小売店(DiabolikDVDなど)が生贄にされ、激怒した購入者たちへの返品対応に追われるなかで、『ペントハウス』の利権に群がる素人集団の無能さが白日の下に晒された。
しかしその一方で、オーストラリアの良心的なレーベル「アンブレラ・エンターテインメント(Umbrella Entertainment)」が放ったボックスセットは、我々に一筋の光をもたらした。彼らは、ネゴヴァンの「究極版」だけでなく、歴史の闇に消えかけていた劇場公開版の完全なアメリカ無修正版、さらには、これまでイタリア国外では絶対に見ることができなかった「イタリア公開版(フル・イタリアン・カット)」を含む計5つのバージョンを、鮮明な画質でディスクに刻み込んだのである。
この「イタリア公開版」こそが、実は今、世界中のマニアたちが最も注目すべき隠されたオーパーツである。なぜなら、このカットのなかには、ティント・ブラスがかつて自らの手で編集しようとしていた半完成のワークプリントの骨格が、奇跡的にそのまま残されているからだ。
ここには、ネゴヴァンの究極版にはない、赤い草刈り機による斬首の狂気のシーケンスの「本来の構造」があり、カリギュラがローマの巻物の上で、法律を記す学者たちの前で狂ったように踊り狂う、あの圧倒的な美のイメージが保存されている。それは、狂王が単なる残酷な暴君ではなく、世界のすべての理性を踏みにじる「絶対的な自由の怪物」であったことを示す、最も純粋な瞬間である。
ただし、このイタリア版にも残酷な代償(妥協)がある。すべての音声がイタリア語のボイスオーバーに吹き替えられているため、マルコム・マクダウェルのあの、鼓膜を突き刺すような鋭い英国調の生の声も、ヘレン・ミレンの気高き響きも、そこにはないのだ。別のテイクの肉体(映像)に、別の声(音響)が宿る。どこまでいっても、我々は完璧な『カリギュラ』に触れることができない。この映画は、どこまでいってもバラバラに解体された死体なのだ。

第五章:結論――神話は解体され、そして永遠に呪われる

『カリギュラ:究極版』とは何だったのか。それは、傑作なのか、それともやはり、救いようのないクソ(失敗作)なのか。
その答えは、我々が映画という芸術に何を求めるかによって、180度変化する。 もし、あなたが「マルコム・マクダウェルとヘレン・ミレンという、映画界の至宝による、歴史に埋もれていた最高峰の演技バトルを目撃したい」と願うなら、この究極版は間違いなく、何ものにも代えがたい「奇跡の聖杯」である。安っぽいポルノの挿入に邪魔されることなく、二人の狂気と気品がスクリーンから爆発するのを見るだけで、3時間という上映時間は、熱病のように過ぎ去っていくだろう。ヘレン・ミレンのすべて(その肉体の神秘のすべて)を目撃した観客は、もはや現代の生ぬるい「ショック映画」などでは何も感じなくなるほどの、決定的な精神の変容(エンライプンメント)を経験するはずだ。
しかし、もしあなたが「ティント・ブラスという一人の孤高の映画監督が、その過激なエロティシズムとバロック的美学をもって、ローマ帝国の退廃を統べようとした、その真のビジョン」を求めているのなら、この究極版は、洗練という名の刃で監督の魂を削ぎ落とした、映画史に対する「もうひとつの裏切り」であり、冷酷なスタジオの金儲けの道具に過ぎないと感じるだろう。
それはまるで、オーソン・ウェルズの『偉大なるアンバーソン家の人々』のように、スタジオによって永遠にズタズタにされ、二度と元の姿に戻らなくなった歴史の犠牲者である。最悪の恐怖は、この「究極版」が決定版として流通することにより、ペントハウス社の倉庫に眠る、再発見された本物の未編集フッテージの数々が、無能な管理者たちの手によって、缶を開けた瞬間の酸化とともに、あるいはデジタルデータの闇のなかで、永遠に崩壊し、破壊されていくかもしれないという現実である。ティント・ブラスは、自らの真のビジョンが世に放たれるのを見ることなく、この世を去っていくのだ。
だが、それらすべての不条理、裏切り、嘘、そしてファンの執念も含めて、やはり『カリギュラ』は、映画というメディアが持つ「怪物的な魅力」そのものなのである。40年経ってもなお、プロデューサーと監督がフィルムの肉体を奪い合い、現代のファンがそれを繋ぎ合わせ、権利者たちが嘘をつき、観客がそれに激怒し、また熱狂する。これほどまでに人間たちの生々しい「欲望」と「エゴ」を吸い込み、膨れ上がり続ける映画が、ほかにあっただろうか。
『カリギュラ:究極版』は、失われた名作ではないかもしれない。しかし、映画という呪われた芸術が、その歴史のなかで流した「最も美しく、最も醜い血の一滴」であることは、絶対に紛れもない事実なのだ。我々はその呪いを、ひたすら引き受け、歓喜とともに溺れるほかないのである。
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