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VHS 膝と膝の間2 (1993) 韓国映画 I'm done hidin now I'm shinin Like I'm born to be We're dreamin hard we came so far Now I believe

  • 商品數量
    1
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    1円
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    山田 聡史 / 評価:4319
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    2026年06月10日 22時53分(香港時間)
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    2026年06月14日 21時52分(香港時間)
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映画という名の迷宮において、私たちは時に、映画史の正史から意図的に忘却された、あるいは泡沫の娯楽として消費し尽くされたはずの「秘境」に迷い込むことがある。1993年に製作された韓国映画『膝と膝の間2』(英題:Madame Emma 9 / 愛麻夫人9)は、まさにそのような迷宮の最深部に鎮座する、過小評価されたエロティシズムの奇跡であり、世紀末の狂気と情念が結晶化した至高の変種(ミュータント)である。
本作を単なる90年代韓国エロティック・シネマ、いわゆる「サランバン(愛房)映画」やサブジャンルとしての「愛麻夫人」シリーズの単なる一本の延長線上として片付けることは、批評的怠慢以外の何物でもない。ここには、高度経済成長の歪みの中で喘ぐソウルという都市の孤独と、肉体という絶対的な監獄から脱出を試みる人間の、文字通り「膝と膝の間」に埋め込まれた実存的な叫びが充満している。私たちは今こそ、この映画が放つ濃厚なフェロモンと、その裏側に隠された底知れぬニヒリズムの深淵に、一滴の容赦もなく飛び込まねばならない。

1. 題名が内包する二重の呪縛と、文脈の脱構築

まず、このあまりにも扇情的で、同時に批評的なタイトル『膝と膝の間2』、そして『愛麻夫人9』という重層的なネーミングに刮目すべきである。 前作にあたるイ・ジャンホ監督の『膝と膝の間』(1984年)は、80年代韓国における国家的な性の解放(あるいは3S政策による懐柔)を背景に、女性の身体の主体性と客体性の境界線を揺るがしたエポックメイキングな傑作であった。しかし、1本のリメイクや続編という枠組みを超え、本作が1993年という「文民政権(金泳三政権)の誕生」という大転換期にドロップされた事実を見過ごしてはならない。
1993年の韓国は、長きにわたる軍事独裁政権の影からようやく脱却し、表層的な民主化とグローバル資本主義の波に洗われ始めていた。精神の自由を謳歌し始めた都市の住人たちが、次に直面したのは、物質的豊かさの裏側に潜む「精神の空虚」と「記号化された性」である。
本作は、タイトルに『膝と膝の間2』を掲げながら、同時に『愛麻夫人9』という、韓国エロティシズム映画の最大・最強のフランチャイズの刻印を背負わされている。この重圧。この二重の呪縛。映画は、この商業的な要請という名の足枷を逆手に取り、独自の「情念の迷路」を構築していくのだ。 「膝と膝の間」とは、解剖学的な空間を指すのではない。それは、触れそうで触れない、あるいは交わりながらも決して融合することのない、男と女、自己と他者、そして過去と未来の「絶対的な距離」のメタファーである。映画は、スクリーンが開幕した瞬間から、その空間を執拗なまでにクロースアップと陰影のコントラストで満たしていく。

2. 映像魔術としての1993年:光と影の肉体言語

本作の全編を支配するのは、90年代初頭の韓国映画特有の、どこか湿度を含んだ、ざらついたフィルムの粒子感である。しかし、本作の撮影設計は、同時代の安価なビデオ映画(Vシネマ的ルーツを持つ作品群)とは一線を画している。
カメラは、主人公たちの肌にまとわりつく汗のひとしずく、激しい呼吸によって上下する胸元、そして夜のソウルの街を彩るネオンサインの残酷な赤と青の光を、まるでルキノ・ヴィスコンティのごときオペラ的な情熱をもって捉える。 特に印象的なのは、室内におけるブラインド越しの光の変奏曲だ。縞模様の影が、ベッドに横たわる肉体に刻み込まれる時、その肉体は自由を求める魂の檻(ケージ)へと変貌する。光は決して登場人物たちを祝福しない。ただ、彼らの輪郭を鋭利に切り取り、その孤立を際立たせるためだけに機能している。
ここで展開される濡れ場(ベッドシーン)の数々は、単なる観客の覗き見趣味を満足させるためのポルノグラフィではない。それは、言葉を失った人間たちが、自らの存在を証明するために互いの肉体を激しく衝突させる「サイレントな対話」である。 狂おしいほどの反復、シーツの擦れる音、そしてあえて過剰にインサートされる不穏な劇伴(シンセサイザーの冷徹な低音と、咽び泣くようなサックスの旋律)が、肉体の交わりを神聖な儀式、あるいは破滅へのカウントダウンへと昇華させていく。監督の演出は、ここで完全に狂気的な熱量を帯びる。カットを細かく割るのではなく、執拗なまでの長回しによって、男と女の体温が上昇し、やがて臨界点に達して瓦解するプロセスを、観客に「目撃」させるのだ。

3. 情念のヒロイン:記号を超越する「エマ」の覚醒

本作のヒロイン、すなわち「愛麻(エマ)」の名を冠された女性の造形は、シリーズの他作品と比較しても、突出して実存的な深みを持っている。 彼女は、家父長制の残滓が色濃く残るソウルの上流社会、あるいは男たちの欲望が渦巻く夜の迷宮において、最初は「所有されるべき客体」として登場する。高級な衣服に身を包み、洗練されたメイクを施された彼女は、一見すると都市の調度品のひとつのようだ。
しかし、彼女の瞳の奥には、すべてを焼き尽くさんとする不発の爆弾が埋め込まれている。 物語が進行するにつれ、彼女は自らの衣服を脱ぎ捨てるだけでなく、社会が彼女に要請した「妻」「愛人」「従順な女」という記号を一枚ずつ剥ぎ取っていく。彼女が男たちの肉体を求める時、それは受動的な快楽の追求ではない。むしろ、自らを縛り付ける見えない鎖を、自らの肉体の熱によって溶かし切ろうとする「能動的なテロル」である。
演じる女優の、時に狂気をはらんだ熱演には、魂が震える。彼女がスクリーン越しに放つ視線は、カメラを通り抜け、私たち観客の凡庸な倫理観を真っ向から撃ち抜く。快楽の絶頂において彼女が見せる表情は、歓喜ではなく、むしろ「世界の終わり」を予見したかのような、凄絶なまでの哀しみと諦念に満ちている。これこそが、本作を単なるエロティシズムから、高純度の文芸メロドラマへと、いや、アヴァンギャルドな精神構造劇へと飛翔させるエンジンなのだ。

4. 都市ソウルという怪物:孤独のトポロジー

『膝と膝の間2』において、舞台となるソウルという都市は、単なる背景ではない。それは登場人物たちの欲望を吸い上げて巨大化する、もう一人の主役(モンスター)である。 1993年、漢江(ハンガン)を挟んで開発が進む江南(カンナム)地区の摩天楼と、古くからの情情緒が残る江北(カンボク)の路地裏のコントラスト。映画は、この都市の二面性を、登場人物たちの心理的引き裂かれ状態と同調させる。
高級マンションの冷徹な大理石の床、ガラス張りのシャワールーム。これらは一見すると近代的で洗練されているが、その実、人間の温もりを徹底的に排した「無菌室」である。主人公たちは、その無菌室の中で、窒息寸前になりながら互いの皮膚を求め合う。 一方で、一歩外に出れば、夜霧に濡れたアスファルトと、闇に蠢く車のヘッドライトが、彼らの逃避行を嘲笑うかのように流れ去っていく。この都市のスピード感と、情念の泥沼のような停滞感の摩擦。その摩擦熱こそが、本作の全編に流れる狂狂しいテンポを生み出している。
映画の中盤、深夜のハイウェイを疾走する車のキャビンの中で交わされる視線と沈黙は、破滅的な美しさに満ちている。カーステレオから流れるアンニュイな旋律は、彼らがどこにも行き着くことができないという絶望を、あまりにも優雅に全編にコーティングしていく。

5. 境界線上のファタール:男たちの去勢と崩壊

本作に登場する男たちは、一様に脆弱であり、特権的な権力を持ちながらも、ヒロインの圧倒的な情念の前に「去勢」されていく運命にある。 彼らは社会的な肩書(実業家、知識人、芸術家)によって自らを武装しているが、ヒロインの「膝と膝の間」に飛び込んだ瞬間、その武装はあまりにも脆く崩れ去る。男たちが求めるのは、自らの権力の確認であり、征服欲の充足であるはずだった。しかし、彼らは次第に、自分たちが征服しているのではなく、彼女という巨大なブラックホールに吸い込まれ、自らのアイデンティティを消失させていく恐怖に直面する。
監督の視線は、これらの男たちに対して徹底して冷酷である。彼らが嫉妬に狂い、あるいは独占欲から暴力を振るう時、その姿は哀れな道化として描かれる。 肉体の交わりにおいて、主導権は常に、目に見えない形でヒロインへと移行していく。男たちが絶頂の果てに眠りにつく時、目覚めているのは常に彼女であり、その視線はベッドの傍らに横たわる男の肉体を、あたかも「用済みの骸骨」を見るかのように冷ややかに見つめている。この反転。この権力構造のダイナミックな解体こそが、1993年という時代において、本作が密かに達成したフェミニズム的な叛逆(あるいはその無意識の露呈)であったと言えるのではないか。

6. 音響のポリフォニー:沈黙と喘ぎ、そして終末の旋律

映画批評において、音響への言及は往々にして後回しにされがちだが、本作『膝と膝の間2』の音響設計(サウンドスケープ)には、熱狂的な賛辞を送らねばならない。 本作の音響は、徹底的な「引き算」と「過剰な足し算」の奇妙な同居によって成り立っている。
静寂が支配する部屋。時計の秒針の音だけが、コト、コトと不気味に響き渡る。その静寂を破るように、衣服が擦れる微かな音、そして肉体と肉体が密着する湿った音が、異常なまでのボリュームで増幅される。この「音のクロースアップ」は、観客の聴覚をダイレクトに刺激し、劇中の密室に同席しているかのような狂おしい錯覚をもたらす。
そして、音楽である。90年代初頭の韓国エロティシズム映画を彩った、哀愁を帯びたシンセ・ポップやジャズ風のメロディは、本作において単なるBGMの枠を超え、登場人物たちの「言語化されない無意識の叫び」として機能する。 特に、エモーショナルな局面で挿入される、過剰にドラマチックなストリングスとサックスの絡み合いは、チープさと崇高さを紙一重で往還しながら、観客の感情を激しく揺さぶる。それはまるで、19世紀の世紀末デカダンス文学が、20世紀末の東アジアの映画館の暗闇の中で、電子的音響として蘇生したかのようである。

7. 消失点への疾走:神話としての結末

物語は、中盤以降、理性の制御を完全に失い、情念の暴走特急と化していく。 論理的な因果関係や、日常的なリアリズムは、熱狂的な編集のテンポの中に融解していく。登場人物たちは、もはや自らの行動の理由を説明しない。ただ、突き動かされるように、次の肉体へ、次の破滅へとステップを踏み続ける。
この「物語の崩壊」こそが、本作の真骨頂である。映画は、プロットの整合性という凡庸な正義を捨て、純粋な「エモーションの持続」を選択したのだ。 膝と膝の間。その狭間に隠された秘密が明かされる時、それは世界を救う真実ではなく、すべてを無に帰す虚無の深淵である。ヒロインが最後に選択する道のりは、観客にカタルシスを与えるものではない。それは、カタルシスを拒絶した先にある、凍てついた超越である。
映画のラストシーン、画面を支配する絶対的な「色彩の不在」(あるいは過剰な色彩の飽和)のなかで、私たちはひとつの神話の誕生を目撃する。それは、記号として消費され、消費され尽くしたはずの「愛麻夫人」という存在が、システムそのものを内側から爆破し、純粋な「情念のイデア」へと昇華した瞬間である。

8. 総括:忘れ去られた傑作への、遅すぎた聖餐式

『膝と膝の間2(愛麻夫人9)』。このタイトルを口にすることすら、かつての、そして現在のシネフィルたちは躊躇うかもしれない。それは、映画史の「日陰」に属する作品であり、不潔で、商業的で、低俗なものとして分類されてきたからだ。
しかし、真の映画批評とは、そのような日陰に咲いた「悪の華」にこそ、もっとも鋭利なメスを入れ、その根底にある美のマグマを抽出する作業であるはずだ。 1993年という、韓国映画が世界の表舞台へと躍り出る(その後の韓国映画新世代、いわゆる韓国映画ルネサンスへと繋がる)前夜の混沌とした闇の中で、本作は確かに、一瞬の、しかし永遠の光を放った。
ここには、技巧に走りすぎる前の、むき出しの映画の「肉体」がある。洗練という名の去勢を拒み、ドロドロとした人間の本能と、時代への違和感を、120%の熱量でフィルムに叩きつけた製作者たちの、狂気的な情熱がある。 私たちは、本作の前にひざまずき、その「膝と膝の間」から溢れ出る、映画という名の不純で聖なる液体を、一滴残らず飲み干さねばならない。それこそが、この忘れ去られた傑作に対する、もっとも誠実で、もっとも熱狂的な、遅すぎた聖餐式(ディナー)なのである。
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