東芝マツダ 611A
有名な中波帯 + 短波帯6スプレッドバンドのGT管スーパー 東芝マツダ623Aとそっくりな扇形大型ダイアル。
この611Aの発売は、623Aよりも1年早い昭和27年ですから、扇型のデザイン元は611Aという訳です。
マジックアイを擁したダイアル盤の見栄えが素晴らしい。
円弧と直線の組合せ、シンメトリックな構成は、まさしくアール・デコ コンセプトです。
このラジオは、1920年代のアール・デコを50年代に再現しているところに意味があります。
急激に変わりゆくラジオデザインに対して、一旦立ち止まって顧みる、ある種の懐古気運を
メーカーは提起したかったのかもしれません。
アール・デコには色彩も重要な構成要素です。
激しく汚れたサランネットは色変して、きらびやかで劇的な配色にしました。
マジックアイの発色もカラースキームに織り込みます。
これらをモノトーンと組み合わせると、アメリカン アール・デコの典型になります。。
劇的なれど異端にあらず、全ては様式の基に。
このようにして、本品のデザインを完成させました。
機器のチェックはいつも電源から開始します。
ケミコンはトップ、ラスト共10μFですが、測定12.5μF、12.7μFで漏洩もほぼ無しの良好判定。
好コンディションと思いきや電源が入らず、回路も問題ないのにヒューズを何本も飛ばしてしまう状態。
電源トランス1次側のレヤショートを疑い、山水の良品に替えて電源投入OK。
レヤショートの原因は不明ですが、マジックアイは消耗していたので、このラジオは数百時間の稼働後、
電源トランス単体の問題で、絶縁不良、電源投入不可に陥ったのでしょう。
早期の不動により、電源ケミコンも良い状態で保存されたものと思われます。
継続使用にあたって問題なしと判断しました。
ハム音も皆無で健全そのものです。
真空管配列が特殊です。電源側から、80, 42,6W-C5, 6D6, 6DH3Aとなっていて、
出力管の隣に局発混合管、一番遠いところが検波管です。
シャシー裏を見ていると、頭がこんがらがります。
後年のマツダラジオは、見事なレイアウトで感心させられますが、
初期型にはこういう不思議なのもあって、ある意味レア品です。
それでもシャシー上、横一列に全ての球とIFTが並ぶのは美しいです。
裏蓋はありません。こうなったら、機器をじっくり眺める仕様という事ですね。
ノブは左から音量調節、中央が選局、左が5ポジションのロータリーSWで
左からOFF、RADIO低音、RADIO高音、PHONO低音、PHONO高音となります。
外部入力はPHONOポジションにて、付属のケーブル(3.5mmステレオプラグ付き)を利用ください。
外部機器のボリューム調節に加えてラジオ本体のボリュームも効く設計です。
これは便利だと思います。
16cmフィールドダイナミックスピーカーが健在です。お愉しみください。
幅49×奥行23×高27.5cm
ラジオ受信はさすが一流品、感度も安定度も優秀です。
電波環境の悪い名古屋地区のコンクリートマンションで昼間、筐体内部のキャパシティアンテナだけで
NHKを受信。この時アンテナ線は付けていません。
実のところ、これが出来る5球スーパーはなかなか無いのです。
本機はマツダラジオでも古い機種ですが、性能の良さに驚かされました。