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極めて希少な天然の岩笛(磐笛・石笛)です。本体表面には「天の岩笛」の金泥銘があり、 桐製とおぼしき 木箱 に 収められています。
岩笛本体は最大 約15cm、 重量は760g。黒々とした、おそらく安山岩かと思われます。
ずっしりとした極めて密度 の 高 い 天然石です。人工的な加工痕は特に 見当たりません 。川の激流で均された であろう 非常に滑らかな石肌を持っており 、おそらく 数千年の歳月をかけ 、 小石が 徐々に穴を 穿 ち、 貫通 させたのでしょう 。
穴の内部は直線では なく、 複雑に屈曲しながら貫通して います。微妙に狭くなったり広くなったりなどしており、自然の貫通石であることを実感させます。
上部から 口を当てて息を吹き込むと 硬質な音 が鳴り響きます。 上部の穴の径は約1㎝、下部は約2㎝です。
明治11年(1878)の明治天皇 御 巡幸の際、信州上塩尻の名士・原昌言( はら まさこと 1820-1886)が召し出され、御前で岩笛を吹 いた という有名な史実が公式記録に残されています。昌言は広く学問を修め、ことに平田派 の 国学に深く通じていた知識人でした。平田派神道において、神々を呼び出す岩笛は神聖な霊器として極めて重視されており、昌言が岩笛に並々ならぬ興味関心を持ち、その吹奏技術を極めていた背景には強い思想的裏付けがありま した 。
さらに幕末から明治期にかけては、平田派の影響を受けつつ、近代神道霊学の中興の祖となった 本田親徳 (ほんだ ちかあつ) や、その後継者である 長沢雄楯 (ながさわ かつたて) らによって、岩笛を用い て神霊を招く 「鎮魂帰神法」が確立・体系化された時代でもありました。 特に本田は、人工的なものではない天然の岩笛を「天の岩笛」 と 定義し、尊重しました 。
本商品は 、原昌言の御前演奏という史実のみならず、まさに本田親徳・長沢雄楯らが興した近代古神道・霊学の黎明期における息吹をそのまま形にした、思想史的にも極めて資料価値の高い一品です。
木箱の由緒に登場する 神田孝平 (かんだ たかひら) は、明治政府の高官 (兵庫県令や元老院議官などを歴任) であると同時に、『日本大古石器考』を著した我が国の石器・考古学研究の第一人者でした。 石器の最高権威であった神田孝平が、現地で昌言の持つこの奇跡的な天然岩笛の造形に感銘を受け、同じ高尚な趣味を持つ文人仲間として、原昌言へ直々に「石笛館」という輝かしい雅号を贈った一幕が、この箱書きの背景には隠されています。
木箱 の蓋は スライド式構造となって おり、 その蓋裏には当時の由緒を伝える漢文風の墨書が遺されています 。
「明治天皇北信御巡幸之節於長野御在所笛 声 ヲ達御耳 御 感悦従者神田孝平君余ノ号ヲ石笛館ト賜下依而保 宝 トスル乎 石笛館 原政賢蔵」
末尾の署名にある原政賢 (はら まさかた) は 、原昌言の親族か、弟子筋に当たる人物だと思われます。 昌言の没後、「石笛館」 を襲名したのでしょう。したがって、 「明治天皇」という崩御後の追号が使われている点 や、 主語が「余」となっている点について も、 1912年 に 明治天皇 が 崩御 された後、そ の最大級の誉れを末代まで伝えるため、 原 政賢が 昌言の 栄誉を書き記した 体で書かれています 。 そこには、 石器の最高権威である神田孝平との親密な交流を示す「君」付けや、当事者にしか書けない一人称「余」の文言が 、 生々しい かたちで遺されているのです。
以上のことから、本品は 文化財級 の 神道 的 名品 であることは間違いないものと判断されます 。
音域について:もとより天然の岩笛につき、絶対的ではなく相対的なものとなるため個人差がありますが、当方が吹いたところ、ラ→レと4度の音程を出すことができました。最初はなかなか音が出にくいと思われますが、根気よく息を入れれば必ず出せるようになります。本田親徳の岩笛は800メートル以上離れていても聞こえたとのことですが(友清歓真 『 霊学筌蹄 』 )、石の笛という性質上、遠鳴りするものなのでしょう。
音色について:三島由紀夫『英霊の声』にある如く、まさに透徹な音という表現がしっくりきます。ちなみに、岩笛の音から、里神楽や能で用いる「能管」が誕生したとされています。能管は竹をいくつかに割いて表側の固い方を内側にして作られていますが、岩笛の硬質な音色を追求した結果なのでしょうか。確かに、あの「ピーッ!」という能管独特の「ヒシギ」の音色は、岩笛そのものといっても過言ではありません。
当方では この岩笛を家宝としてまいりましたが、金銭的な事情により 、断腸の思いで 手放すことといたしました。 古神道 家、教派系神職、 霊石収集家 の方々 に特に お勧め いたします。
値下げはしません。
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