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PCL86は、6GW8相当のヒーター電圧15Vのもので、ユーゴスラビア製でEiロゴが付いているものが手元に何本かあり、また、東芝の前身のマツダの商標が印字された6BX7GTが2本、残されていました。テレフンケンの流れをくむユーゴスラビア製の最終期の量産真空管と、国産初期のGT管を、オーディオ・アンプに組んで比較してみようと 本機を試作しました。PCL86は、μが100の3極管と、プレート損失9Wの5極管を持つ複合管で、2段重ねの凝った電極構造を持っています。6BX7GTは、プレート損失10Wの3極管を2個持った双3極管で、1本でPPアンプを構成できます(両ユニットの合計プレート損失は12W程度まで)。GT管内に封入された各ユニットは堅牢で、後に東芝がオーディオ用として開発した3極管の6GA4の電極によく似ています。
ここでは、PCL86は3結とし、6BX7GTはμ100の12AX7T(松下)と組み合わせて、これらの高μ3極部のカソード結合増幅で、初段で位相反転をして、そのまま各出力管をドライブする回路構成としました。OPTにはTalemaのトロイダル・トランス(PP間5.2kΩ/8Ω相当)を採用し、B電源は320V前後となっています。各PCL86には30mA、6BX7GTの各ユニットには20mA程度のプレート電流で動作させています。出力管の選択・切り替えは、シャーシー後部中ほどのスナップSWで行います。上方がPCL86(PL緑),下方が6BX7GT(PL赤)で、電源オン時の切り替えが可能です。
アンプとしての性能は、PCL86側で、 8Ω負荷時のゲイン19dB,出力4.0W、NFB10.3dB、帯域は-1dBで10Hz~35kHz、30Hzでも出力3.5W程度まで波形は崩れません。6BX7GT側では、8Ω負荷時のゲイン15.6dB、出力5.6W、NFB5.2dB、 帯域は-1dBで10Hz~20kHz、30Hzでも出力2.2W 程度まで大丈夫です。ただし、出力3.7Wを超えると、バイアスが深いために、クkロスオーバー歪が増えます。因みに、負荷を16Ωとすると、ゲイン17.0dB、出力6.9Wと増大し、 クkロスオーバー歪もほぼ消失します。 本機のSP出力は8Ωのみですが、実際のSPのインピーダンスは低域のFo付近や高域ではかなり上昇しますので、どちら側の出力管の場合でも、8Ωのままで支障はないと思います。ただし、16ΩSPまたは8ΩSP2個をシリーズで使用する場合は、6BX7GT側の方が、出力も向上し、ゆがみが少なくなると言えますので考慮してください。また、トロイダルOPTは、PPにおける直流バランスをしっかりとれば、小型でもかなりの低域まで出力できます。本機では、超低域の方形波の対称性が維持できるように、バランスを調整してあります。
本機の聴感上の印象は、稠密で輪郭もはっきりした音像が得られ、低域もしっかりしています。トロイダル・トランスの特質が反映されているものと思われます。その上で、まだやや硬く、乾いた感じが残りますが、エイジングを重ねればこなれてくるとも思われます。また、本機は出力を稼ぐために定格いっぱいの動作をさせていますが、 マツダの6BX7GTのような、レトロな希少球が投入されていることもあり、 寿命を保つためにも、長時間の稼働は避けていただく方がよろしいかと思います。
(2026年 8月 21日 12時 48分 追加) サイズは、20cmW、30cmD、14cmHです。また、残留ノイズは、聴感上ほぼ皆無です。出力管の切り替えは、電源オン時の試聴時にいつでもシャーシー後面中ほどのスナップSWで行うことができ、ポップノイズなども出ません。ただ し、 徐々に切り替わって、ゲインの差が 3dBほどありますので、必要なら音量調整をしてください。 >