UTC「H」シリーズとは何か UTC(United Transformer Company)のラインナップには複数のシリーズが存在しました。 UTC 1970年カタログでは「Hermetically sealed transformers. Grades 4 & 5」がHシリーズに対応 し、「Rugged mechanical construction for both the hermetic and molded units assures high reliability under the most severe environments」 と記されています。
つまり H シリーズは UTC の中でも MIL規格(軍用規格)対応、最も厳しい環境下での信頼性保証を売りとする最上位グレードでした。
H シリーズの本来用途は マイクロフォン入力トランス(150Ω/250Ω → 50kΩ程度)。これがなぜMC昇圧に転用されて高い評価を受けるのか。
理由①:巻線比が MCに最適 マイク入力(150Ω)→ ハイインピーダンス(50kΩ前後)の巻線比は √(50000/150) 1:18 前後。これが現代MCカートリッジの推奨ステップアップ比(「use a turns ratio between 1:10 and 1:20. That covers nearly everything on the market today」 )にぴったり一致します。
日本のMC昇圧トランス界の頂点に君臨するのは WE 618B。「The Western Electric 618A, B and C input transformers are prized acquisitions in Japan for use as MC step-up devices based on my perusal of MJ and Stereo Sound Tube Kingdom magazines」 と JE Labs も認める通り、日本のオーディオ専門誌で繰り返し取り上げられる定番中の定番です。
WE 618B は片チャンネル20〜40万円が現在の相場。これに対し UTC H シリーズは 「WE には届かないが、その下のティアでは間違いなく最良の選択肢の一つ」 という位置づけ。「many sleepers out there like the RCA MI12399A and certain obscure models from Thordarson, UTC and etc.」 と evaluated される、いわば「通好みの隠れ名機」です。
UTC の “H” シリーズは、同社のラインナップの中でもミューメタル多重シールド・ハーメチックシール(密閉)構造を備えた最上位グレードに位置づけられる業務用入力トランス。50〜60年代の米国スタジオ・放送局・軍用機器で重用された伝説的な銘柄です。マイク入力(150Ω → ハイインピーダンス)として設計された巻線比は、そのまま低出力MCカートリッジの昇圧用途に転用可能で、世界の自作派マニアの間では「入手できれば一生もの」と評される名トランスです。
■ なぜ UTC マイクトランスが MC昇圧に最適なのか
世界的に著名なヴィンテージオーディオ修復ブログ JE Labs は以下のように述べています:
「シングルエンド真空管アンプ愛好家の多くはアナログ愛好家でもあり、Denon DL-103シリーズ、Ortofon SPU、Fidelity-Research、Supex、Koetsu といった古典 MC カートリッジの音楽的素晴らしさに目覚めている。“MJ無線と実験”や”ステレオサウンド・チューブキングダム”誌の記事を見ても、Western Electric 618A/B/C入力トランスがMC昇圧用として日本で珍重されているのが分かる。他にもRCA MI12399A、Thordarson、UTC等の隠れた銘トランスが眠っている。」
UTC H シリーズはまさにこの「眠れる銘トランス」の代表格。本機はその H-1683D をペアで贅沢に投入した一台です。
■ MC昇圧トランス(SUT)の音質的優位性
「パッシブ昇圧トランス(SUT)は、MCカートリッジから引き出される性能を超自然的とも言えるレベルで向上させる。特に真空管 MM フォノステージとの組み合わせでこの効果は顕著だ。」 「SUTのパッシブ巻線はアクティブMCヘッドアンプより明らかに低いノイズフロアを実現する。さらに入力インピーダンスが周波数依存であるため、SUT固有の高調波歪みは最低域に発生する一方、MCアンプの歪みは周波数とともに増加する(=SUTは可聴帯域での歪みが少ない)。」
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