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VHS 学校のY談 (1996) 城後光義 藤谷かな 瞳リョウ神乃毬絵 川奈由衣 武田菜摘 神崎さとみ佐野和美 竹中なお 片岡修二 瀬々敬久 光石冨士朗

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日本の映画史、あるいはエロティシズムの系譜学において、1990年代中盤という時代は一種の「ミッシングリンク」として機能している。バブルの狂乱が冷めやみ、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件といった未曾有の災厄が列島を揺るがしたあの世紀末、人々の内面に宿った得体の知れない不安と虚無は、サブカルチャーの地下水脈において奇妙な熱狂へと昇華されていった。その熱狂の最も濃密な吹き溜まりの一つが、深夜テレビという「密室」であり、東映Vシネマをはじめとするビデオオリジナル作品の「暗がり」であった。
1996年に産み落とされたビデオ映画『学校のY談』は、まさにその時代精神の濃厚な体液を煮詰めて作られた、猥雑にして過剰、それでいて奇妙なほどに美しいマスターピースである。
本作のタイトルが、前年に公開され社会現象となった東宝のジュブナイル映画『学校の怪談』(1995/平山秀幸監督)のパロディであることは論を俟たない。しかし、本作を単なる悪ノリの便乗企画、あるいは安易なピンク・パロディとして片付ける者は、映画というメディアが持つ「映画的運動のダイナミズム」に対してあまりにも盲目であると言わざるを得ない。ここに刻まれているのは、本家が描き得なかった「肉体」と「怪異」の生々しい交錯であり、当時最前線でエロスとドラマの境界線を拡張し続けていた表現者たちの、執念にも似た情熱の結晶なのだ。
本作の最大にして最強の惹句は、当時のアダルトビデオ(AV)界を牽引し、あるいは新たなエロスの地平を切り拓きつつあった10人の女神たち――瞳リョウ、三枝美憂、神乃毬絵、藤谷かな、川奈由依、武田菜摘、竹中なお、田中美優、佐野和美、神崎さとみ――の豪華絢爛たる競演である。
実を言えば、筆者はけっしてAVというジャンルに精通しているわけではない。90年代という時代、テレビ東京系の深夜に光り輝いていた伝説的バラエティ『ギルガメッシュないと』や、日本テレビ系の『ロバの耳そうじ』といった番組のなかで、圧倒的な存在感を放っていた「瞳リョウ」という傑出した個性を辛うじて知るのみである。他の9名に関しては、当時の業界でどれほどの寵愛を受けていたのか、その詳細なバイオグラフィーを網羅しているわけではない。だが、だからこそ、先入観なき「一本の映画」としての批評が可能になる。
誰がどの役を演じているのか、その厳密な同定は時に視覚の迷宮へと誘われるが、画面から放たれる彼女たちの「肉体的実在感」と、演技を超えたところにある野生的なエロティシズムは、観る者の網膜に強烈な感銘を焼き付ける。彼女たちは単なるアイコンとして消費されるためにそこにいるのではない。世紀末の校舎という、閉ざされたエデンのなかで蠢く「性の迷い子」たちとして、その生身の身体を激しく明滅させているのだ。

序幕:ルーズソックスの神話作用と精液のリップスティック

映画は、当時の女子高生カルチャーの象徴である「ルーズソックス」が波打つ、私立平成高校2年A組の教室から幕を開ける。この「平成高校」という記号性の高さこそ、本作が90年代という時代を全開で引き受けるという宣言にほかならない。
女子高生たちが放課後の気だるい空気のなかで囁き合うのは、都市伝説の王道「トイレの花子さん」の噂話である。その淫靡で不穏な会話を、廊下から耳をそばだててフンフンと盗み聞きしている中年用務員の姿。この、覗き見(あるいは盗み聞き)の構造こそが、映画というメディアの本質=観客の覗き見趣味(ヴォワイリズム)を反転させたものであり、これから始まる怪異のパレードへの導入として完璧な役割を果たす。
夜の見回り。静まり返った木造校舎の闇を切り裂くように、女子トイレから漏れ聞こえてくる、妖しくも艶めかしい女の声。用務員が恐怖と興奮に震えながら、ゆっくりとその個室の扉を開けた瞬間、カメラが捉えるのは、あまりにも有名な怪異「口裂け女」の異形である!
絶叫し、脱兎のごとく夜の校舎を逃げ去っていく用務員。しかし、カメラはカメラとしての冷静さを保ちながら、その個室の内部へとさらに踏み込んでいく。そこにいたのは、怪異などではなかった。ただの、放課後の密会を楽しんでいた男女の生徒である。
「もう、顔射だけはヤメテって言ったのに」
女子生徒が不満げに、しかしどこか甘えた声で呟く。彼女の口元は、真っ赤に染まっている。それは決して刃物で引き裂かれた傷口ではなく、直前の行為によって浴びせられた精液の化学反応によって、リップが溶け出し、口の周りにドロリと広がった「エロスの痕跡」に過ぎなかったのだ。
このプロローグが提示する批評性は極めて高い。「怪談」とは、思春期の過剰な性衝動や、大人になることへの恐怖が変形されて生み出された都市の幻影にすぎない――という身も蓋もない真実を、これ以上ないユーモアとエロティシズムで祝福しているからだ。この見事な先制パンチを経て、映画は「奇怪編」「恐怖編」「心霊編」という、三つの特異なエピソードからなるオムニバスの迷宮へと本格的に突入していく。

第一話 奇怪編「人体模型慕情」――無機物への愛撫と、皮膚の覚醒

第一話「人体模型慕情」は、本作のなかでもとりわけ変態的でありながら、どこかリリカルな純愛映画の佇まいを見せる傑作である。
舞台は放課後の理科室。化学部に所属するメガネっ子の美紀(童顔ロリ系の至宝、三枝美憂がその儚げな肢体を惜しげもなく晒している)には、誰にも言えない秘密の日課があった。彼女は毎夕、理科室の隅に佇む、あの内臓が剥き出しになった無機質な「人体模型」を抱きしめ、それを相手に激しい自慰行為に耽っていたのである。
この倒錯。本来であれば恐怖の対象、あるいはグロテスクな教材に過ぎないプラスチックの塊に、自らの瑞々しい肉体を擦りつける美紀の姿は、エロティックでありながら同時にひどく孤独だ。
ある日、美紀に人知れず想いを寄せていたクラスメイトの浩一が、静まり返った理科室に忍び込み、その決定的な場面を目撃してしまう。秘密を知られた美紀は、泣き崩れながら自らの忌まわしい過去を告白する。幼い頃、見知らぬ年上の男から受けた執拗な「悪戯」。その精神的トラウマが、彼女の心に決定的な「男性恐怖症」の楔を打ち込んでしまったのだ。
生身の男の肉体が怖い。体温が、息遣いが、毛羽立った皮膚が恐怖でしかない。その結果、リケジョへと成長した彼女が唯一、自らの激しい性欲を安全に満たすことができる対象、それこそが「血の通わない、言葉を発しない、自分を傷つけない」人体模型であった。美紀の倒錯は、自己防衛のための悲しいシェルターだったのである。
翌日、浩一は美術部の親友である木村にこの件を相談する。ここで「なぜそんなデリケートな女の子の秘密を他人にバラすんだ!」という、青春映画としての倫理的なツッコミを入れたくなる観客もいるだろうが、それこそが浩一の若さゆえの狂気、手段を選ばぬ救済への執念の表れなのだ。浩一は木村に、ある「特殊なボディペイント」を依頼する。彼が何を企んでいるか、映画を観る者は一瞬で理解し、そのあまりにも愚直でエロティックな作戦に快哉を叫ぶことになる。
再び、放課後の理科室。美紀の前に現れたのは、衣服を脱ぎ捨て、全身に赤や青の絵の具で「筋肉図」や「内臓」を描き込まれた、文字通りの“人間人体模型”となった浩一であった。
驚愕し、目が点になっている美紀に向かって、浩一は真剣な眼差しで言い放つ。 「あいつ(人体模型)だと思ってヤッテみろよ」
「でも……」と恐怖に身体を強張らせ、躊躇する美紀。そこへ浩一の、魂の叫びが炸裂する。 「一生人体模型とやっていくつつもりかよ!」
この台詞のド直球な熱量こそ、90年代Vシネマの真骨頂である。覚悟を決めた美紀は、浩一の胸に飛び込み、そのフェイクの皮膚を貪り始める。しかし、長年培われた「無機物とのセックス」のルーティンは、そう簡単には崩れない。
浩一が感情の高ぶりのままに激しいキスを交わし、その口内に舌を滑り込ませた瞬間、美紀はハッと目を見開き、冷ややかに口を挟む。 「人体模型に舌はないわ」
さらに浩一が、彼女の秘部を愛撫しようと指を動かせば、美紀はまたしても拒絶の手をかける。 「人体模型の指は動かないのよ」
イチイチ入るこのマニアックなツッコミ! エロティシズムの絶頂において展開される、この「設定の整合性をめぐるディベート」の可笑しさと切なさ。美紀にとって、人体模型とのセックスは一種の厳格な「儀式」であり、その形式美が崩れることは、男性恐怖症のパニックを引き起こすトリガーになりかねないのだ。
だが、浩一はここで退かない。彼は肉体の限界を超えた情熱で彼女の細い肩を掴み、押し倒し、一気にその熱いペニスを挿入する。そして、理科室の片隅で自分たちの行為を見下ろしている本物の人体模型を睨みつけ、勝利を確信した叫びをあげるのだ。
「俺は人体模型なんかじゃない! お前は今、本当の人間と愛し合っているんだよ!」 「もうお前の役目は終わった!」
プラスチックの神への勝利宣言。生身の抱擁が、トラウマという名の怪物を打ち破った瞬間である。この一連の絡みのシーンにおいて、三枝美憂演じる美紀の表情は実に素晴らしい。しかし、映画批評としてあえて一点の冷厳な苦言を呈さねばならない。美紀は激しいピストンの衝撃のなかで、自らのアイデンティティでもあったはずの「メガネ」を外してしまうのだ。
これは痛恨の極みである! メガネっ子という属性が、野生的なセックスの官能のなかで「解除」されてしまうことは、フェティシズムの純度を濁らせるマイナス要因と言わざるを得ない。最後までメガネをかけたまま、そのレンズの向こうの瞳が歓喜に歪む瞬間を捉えてこそ、至高の変態映画となり得たはずだ。そこだけが、唯一点の惜しまれる部分である。
しかし、このエピソードの真の白眉は、その後に用意されたあまりにも非情で、かつ爆笑を誘う「チャンチャン」なオチにある。
数日後、美紀はすっかり化学部を辞め、人体模型に未練をみせることもなくなった。浩一は自らの愛が彼女を救ったのだと確信し、悦に入っていた。だが、校内では妙な噂が流れ始める。美紀がなぜか「美術部」に転部し、もっぱら女子生徒の間で人気のイケメン部員・木村を目当てに通い詰めているというのだ。
聞き捨てならない噂に胸をざわつかせた浩一は、放課後、美術部の部室のドアをそっと開け、中を覗き込む。そこで彼が目撃したのは、驚天動地の光景であった。
カーテンの隙間から差し込む夕日を浴びて、全裸になった美紀が、今度は美術室に鎮座する巨大な「ギリシャ彫刻の石膏像」に跨り、恍惚の表情で激しく腰を振っていたのである!
彼女のフェティシズムは、生身の人間によって治癒されたわけではなかった。人体模型から石膏像へ――彼女の「無機物への愛」は、より高次元の、より美的な硬度を持った芸術の領域へとステップアップ(?)したに過ぎなかったのだ。浩一の絶望と、美紀のどこまでもピュアな倒錯の美しさが交錯する、完璧なエンディングである。

第二話 恐怖編「憧れの女教師」――抑圧されたエロスと、半面崩壊の死霊

続く第二話「恐怖編『憧れの女教師』」は、第一話のコミカルなトーンから一転し、人間の底知れない悪意と、情念の恐怖が渦巻くドロドロとした怪談へと変貌を遂げる。
物語の舞台は、全校男子生徒の劣情を一身に集める保健体育の授業。教壇に立つのは、白衣を身に纏い、知的で冷徹なメガネの奥に妖艶な光を宿した恭子先生(演じるのは、圧倒的な肢体とサディスティックな美貌で一世を風靡した神乃毬絵である)。男女合同の授業のなかで、彼女の美しい唇からは「ペニス」「精巣」「射精」といった、およそ高校生の脳髄を沸騰させるに十分すぎる性的な専門用語が淡々と紡ぎ出されていく。
思春期の真っ只中にある男子高校生たちにとって、このシチュエーションは拷問であり、同時に至高のご馳走である。案の定、恭子先生は全校男子の「オナペット(オナニーの妄想対象)」と化していく。その執拗な視線の暴力は、やがて具体的な性被害へとエスカレートしていく。
授業中、机の下に仕込まれた鏡によって、彼女が教壇を歩くたびにパンティを覗かれる。廊下を歩けば、すれ違いざまに不埒な男子生徒の手によって豊かな胸を揉みしだかれる。恭子先生の日々は、生徒たちの歯止めの利かない性欲によって、じわじわと精神を削り取られる地獄そのものであった。
そして、悲劇は最悪の形で具現化する。ある日の放課後、保健室という「密室」に、校内でも悪名高い不良3人組が押し入る。彼女の白衣は引き裂かれ、ベッドの上で凄惨な輪姦(レイプ)が始まってしまうのだ。
そこへ、偶然にも部活の怪我の治療のために保健室のドアを開けたのが、かつて鏡で恭子先生のパンツを覗き見ていた男子生徒・明夫であった。明夫は自らの罪悪感と、憧れの女性を踏みにじられることへの怒りから、多勢に無勢であることも顧みず、不良たちへ殴りかかる。しかし、力及ばず、3人組の容赦ない暴力によってボコボコにされ、床に血を流して昏倒してしまう。
その夜、心も身体も完全に破壊された恭子先生は、静まり返った校舎の屋上に立ち、夜風に白衣をなびかせながら、地面へと身を投げ出して自殺を遂げてしまうのである。
物語が真の「恐怖」と「官能」を紡ぎ出すのは、ここからだ。
主を失った夜の保健室。傷だらけの明夫が、ぽつんと置かれたパイプ椅子に座り、無人のベッドを見つめながら、「助けられなくてゴメン……」と涙を流して謝罪している。すると、部屋の空気が一瞬にして氷結し、カーテンが揺れる。闇のなかから、生前と変わらぬ知的な白衣姿の、しかしどこか透き通るような美しさを持った恭子先生の幽霊が現れるのだ。
幽霊となった恭子先生は、明夫の頬にそっと手を添え、囁く。 「殴られても、私を助けようと何度も立ち向かってくれて嬉しかったわ……」
その言葉は、冷たい死の世界から届いた、あまりにも濃密な誘惑のシグナルであった。明夫は恐怖を忘れ、叫ぶ。「幽霊だっていいや!」
そこから、夜な夜な繰り返される、生者と死者による禁断の性交。保健室の白いシーツのうえで、明夫は恭子先生の冷たい肉体を貪り、恭子先生もまた、明夫の若い生命力を吸い上げるようにその腰を受け入れる。エロスとタナトス(死の欲動)が最も美しい形で融合した、退廃的な蜜月。
しかし、異界の住人との交わりが、タダで済むはずがない。日を追うごとに、明夫の顔からは生気が失われ、眼窩は落ちくぼみ、まるでミイラのようにやつれていく。彼の異変を不審に思ったクラスメイトたちが、ある夜、明夫を尾行して夜の保健室を覗き込む。
そこでクラスメイトたちが目撃した、スクリーンの向こうの観客をも震え上がらせる「本物の恐怖」――。
ベッドの上で、明夫が狂ったように腰を振っている相手。それは、生前の美しい恭子先生などではなかった。校舎の屋上からコンクリートの地面へと叩きつけられた、あの「落下の衝撃」によって、顔面の右半分は完全に陥没し、肉が裂け、左の眼球は視神経を引きずりながら頬のあたりまでダラリと垂れ下がった、見るも無惨な「半面崩壊の死霊」であったのだ!
明夫の脳は、彼女の霊力によって美しい幻影を見せられていたに過ぎなかった。クラスメイトたちの「明夫! 目を覚ませ! そいつは幽霊だ!」という必死の絶叫と、窓ガラスを叩く音が、明夫の精神の呪縛をパチンと弾き飛ばす。
正気に戻った明夫が、自らの腕のなかにいる怪物の顔を間近で見た瞬間、魂の底からの悲鳴が溢れ出す。「うわあああああ!」
その悲鳴は、恭子先生の死霊の心を深く傷つけた。自分を本当に愛してくれたわけではなかったのか、やはり私の「肉体」という皮皮(かわひ)の美しさだけを求めていたのか。怪物の歪んだ顔の、残された片目から、一筋の血の涙が流れ落ちる。
恭子先生の幽霊は、悲哀に満ちた声で最後の言葉を残す。 「明夫君、向こうの世界で待ってるわ……」
その言葉の余韻を残し、彼女の姿は夜霧のように消え去り、成仏していく。残された明夫には、いずれ訪れる「死」の約束だけが刻まれる。哀愁とグロテスクなエロティシズムが奇跡的なバランスで成立した、Jホラー前夜の傑作短編である。

第三話 心霊編「危ない課外授業」――コギャルの資本主義と、因果応報の緊縛

物語の締めくくりとなる第三話「心霊編『危ない課外授業』」は、これまでの学校という舞台から一歩外へ飛び出し、90年代中盤の東京、とりわけ「渋谷」という街が放っていた、独特の軽薄さと混沌のエネルギーをこれでもかとパック詰めした社会派(?)エロコメディである。
ある日、主人公の男子生徒・真嗣が、仲間たちと何気なく「チェキ(インスタントカメラ)」で撮影したスナップ写真。現像されたその画像を見た一同は、凍りつく。真嗣の右肩に、その場にいる誰のものでもない、青白い「人間の手」が乗っているのだ。「心霊写真だ!」と教室は大騒ぎになる。
その騒ぎを、冷ややかな、しかし抜け目ない目で見つめていたのが、他校から紛れ込んでいた2人組の「コギャル」であった。茶髪にガングロ、極端に短いミニスカート。彼女たちの片方が、写真を見るなり、真嗣の恐怖心を煽るようにこう切り出す。
「これ、マジでヤバい霊だよ。あ、私のオバサンが実は有名な霊能者なんだけどさ、お祓いしてもらう? 普段は30万円かかるんだけど、特別に3万円でいいよ」
典型的なコギャル詐欺である。恐怖に駆られた真嗣は、まんまとその口車に乗せられ、なけなしの3万円を支払ってしまう。
金をせしめたコギャル2人組は、「遊ぶ金できた〜♪」と学校のトイレでそそくさと私服(当時の最先端ストリートファッション)に着替え、ネオン煌めく渋谷の街へと繰り出していく。この、倫理観が完全に麻痺した、刹那的な快楽主義こそが90年代コギャルの生態系であった。
彼女たちの資金源はそれだけではない。当時、全盛期を迎えていた「テレクラ(テレフォンクラッチ)」を駆使し、小遣い稼ぎを繰り返す常習犯だったのだ。男をホテルの部屋に呼び出し、前金だけを奪って、何もさせずに逃げる。その夜のターゲットになったのは、うだつの上がらない中年会社員のオヤジであった。
コギャルたちはホテルのベッドの上で、オヤジに向かって「今夜はSMプレイよ」と妖しく微笑み、彼をベッドの四隅にロープで完全に縛り付ける。さらに、床やベッドの周囲に「画鋲」を大量に撒き散らし、オヤジが身動きを一切取れない状態にしてから、財布の中身をすべて抜き取って、嘲笑いながら部屋を後にした。
しかし、この夜のオヤジは一味違った。怒りによって理性のリミッターが外れた中年会社員は、執念でロープを解き、画鋲の痛みに耐えながら、夜の渋谷の街でコギャルたちを大捜索する。そして、クラブ帰りの彼女たちを見つけ出し、仲間のオヤジ(これまた脂ぎった中年男)と共に、怪しげなアパートの一室へと拉致監禁するのだ。
ここから、映画は一気に「お仕置きのSMセックス」の泥沼へと突入する。 オヤジたちの逆襲は容赦ない。コギャルたちの生意気な肉体は縛り上げられ、これまでの悪行の報いを受けるように、激しく犯されていく。その行為のすべては、オヤジたちの手によってビデオカメラで撮影され、「警察に言ったり、誰かにバラしたら、このビデオを学校やネット(当時は黎明期のパソコン通信か)にバラ撒くぞ」と脅迫される。元祖・リベンジポルノによる恐怖の支配。
だが、90年代のコギャルという人種は、大人が考えているほどヤワではない。彼女たちの凄まじいところは、その最悪の状況下においてすら、「したたかさ」を失わない点にある。
次にオヤジたちに呼び出された際、彼女たちは怯えるどころか、むしろ「SMの快感に目覚めたフリ」をして、従順にプレイに応じる。オヤジたちが絶頂を迎え、完全に油断した瞬間、コギャルの片方が隠し持っていたチェキを取り出し、オヤジ2人が醜態を晒して緊縛されている姿をカシャリと撮影するのだ!
「この写真、あんたたちの会社と家族に送るわよ」
形勢は一瞬にして再逆転する。大人の社会的な「プライド」と「地位」を人質に取るという、極めてプラグマティックな戦術。コギャルたちは勝ち誇り、オヤジたちの財布から再び現金をありったけ抜き取り、自分たちのリベンジポルノビデオを回収しようとする。
すべては彼女たちの完全勝利で幕を閉じるかに思われた。しかし、最後の最後、現金を掴んで部屋を出ようとしたコギャルたちの口から、「キャッ!」という、これまで聞いたこともないような甲高い悲鳴が上がる。
カメラが彼女たちの足元を捉える。なんと、彼女たちのミニスカートの裾から伸びる、その「股間」を隠すように、闇の中からニュッと現れた【謎の青白い手】が、彼女たちの秘密の場所をガッチリと、そして卑猥に愛撫していたのである……!
カメラはそこでフェードアウト。画面には虚無的な静寂が訪れる。 ――どんなオチだ!
この、因果応報が一周回って、最初の「心霊写真の手」の伏線が、最も下劣な形で回収されるというシュールレアリスム。恐怖でもエロスでもなく、ただただ「怪異のスケベさ」だけが残されるという、この投げやりな幕引きこそが、世紀末Vシネマが到達した一種の「虚無のトピア」なのである。

統括:ピンク映画の血脈と、メガヒットメーカーの若き日の暴走

本作『学校のY談』を、単なる時代遅れのエロビデオとして棚の隅に放置しておくことは、日本映画界における「才能の系譜」を見誤ることに等しい。なぜなら、この一本の猥雑なオムニバスの背後には、後に日本映画のメインストリームを席巻することになる、恐るべき怪物たちの頭脳が潜んでいるからだ。
まず、特筆すべきは、その脚本陣の異常なまでの豪華さである。
クレジットされているのは、片岡修二、そして瀬々敬久。 片岡修二といえば、1980年代から90年代にかけて、ピンク映画界において『地獄のローパー』をはじめとする過激にして端正な傑作を連発し、緊縛とドラマを融合させた「エロス職人」としての異名をとる巨匠である。彼の持つ、肉体への冷徹な視線と、シチュエーションがもたらす官能の組み立て方は、本作の第二話や第三話の緊縛シーンにおいて遺憾なく発揮されている。
そして、もう一人の怪物、瀬々敬久。 現在でこそ、京都大学卒業という輝かしいインテリジェンスを背景に、数々の大作映画や、社会の闇を厳粛に告発する重厚な人間ドラマ(近年の深刻ぶった文芸大作の数々)を手がけ、日本アカデミー賞の常連となっている「今をときめくヒットメーカー」であるが、彼の本質は、佐藤寿々樹、サトウトシキ、佐野和宏らと共に「ピンク四天王」と呼ばれ、日本のインディーズ映画界を過激な性描写とアヴァンギャルドな演出で牽引したピンク映画出身の闘士である。
率直に申し上げよう。近年の、国家や家族の重いテーマを背負い込み、観客に深刻な顔を強いる瀬々敬久監督の作品群よりも、この『学校のY談』において発揮されているような、軽妙洒脱で、悪ノリに満ち、それでいて人間の本質的な「性(さが)」を笑い飛ばすようなライト・ピンクコメディ路線のほうが、彼の本来の映画的筋肉にしなやかにフィットしていたのではないか。ここにあるのは、作家としての「てらい」を捨て、純粋に観客の劣情とユーモアを刺激するためにペンを走らせた、若き日の瀬々敬久の、瑞々しいまでの狂気である。共同脚本のため全3話のどれを担当したのかは不明だが、おそらく第2話だろう。
そして、この混沌とした脚本の魅力を、見事な職人技で一本のエンターテインメントにまとめ上げた監督・光石富士朗の手腕も見逃せない。
光石富士朗という映画作家の振れ幅の大きさには、畏怖すら覚える。後にダライ・ラマ14世のドキュメンタリー映画を監督し、高潔な精神世界をフィルムに収める一方で、2025年には映画撮影の現場をめぐって女優・広末涼子と一悶着を起こすなど、常に芸能界・映画界の「生々しい嵐の中心」に身を置き続ける、トラブルメーカーにして天才肌の演出家。
彼が1996年という時点で、このAV女優10人切りという「劇薬」のような企画を任されたとき、その演出の矛先は単なるエロの記録には向かわなかった。Jホラーの開祖たちが開発しつつあった「陰惨な闇の表現」をいち早く取り入れつつ(第二話の顔面崩壊シーンのクオリティを見よ)、第一話のポップな変態性、第三話の渋谷コギャルのドキュメンタリー的リアリズムを、一本のフィルムのなかに同居させてみせたのだ。
本作は、本家である東宝の『学校の怪談』という、誰もが楽しめるファミリー向けの「表の神話」に対する、深夜のビデオボックスだけで流通することを許された「裏の神話」である。
そこには、子供たちの成長物語など存在しない。あるのは、男と女、肉体とプラスチック、生者と死者が、互いの穴を埋め合うようにして貪り合う、どこまでも卑近で、どこまでも崇高な「性の課外授業」だ。10人の女神たちが放ったあの世紀末の光輝は、デジタル化された現代の、去勢されたエロティシズムのなかでは決して再現できない。
『学校のY談』。それは、90年代という時代の歪みが産み落とした、映画の「Y染色体」が暴走した、奇跡のグラフィティなのである。
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「您好, 商品ID:__________________ 問題,會先幫您建立客訴案件,但需要請您提供商品問題2-3張清晰的照片,含商品問題照片、商品包裝照片、出貨明細字條 及 外箱照片供我們補充資料,傳送至service@funbid.com.hk 服務信箱,並告知我們您想要的處理方式 (若未提供,會造成無法處理後續事宜),完成寄信後於客服留言訊息中告知,我們會盡快幫您與賣家確認,待處理人員處理後,若有相關疑問會再與您聯繫,感謝您的協助。 謝謝。」

請提供:
1. 「商品編號」
2. 「納品書」照片 (如有)
3. 外箱照片 (含內、外包裝)
4. 商品照片 (由於我們不是專業賣該商品,請於圖片外附上相關說明,以利我們與賣家確認)

注意事項:
1. 圖片背景切勿出現中文字樣及中文商品。
2. 請保留完整商品外包裝 (包含托運單資訊),並禁止自行維修或改變原始狀況,若有異動則會造成案件無法處理。
3. 相關資訊請您於48小時內提供,避免錯過反映的黃金時間,造成無法處理狀況。
4. 由於99%的日本賣家不願意 及 不清楚商品會被寄送至海外,若賣家願意處理問題,商品必需寄送回日本,因而產生的國際運費必需由會員自行承擔。Funbid 會透過 郵局 EMS 國際快捷 將商品寄送回日本。
5. 由於商品購自海外,當商品發生問題,需約一至二週完成相關處理程序。 提醒您,您可以至郵局的 EMS 方式查詢約略的費用。

5. 常見問題

一、真假貨問題:若古董、名牌類商品收到後發現為膺品,需要舉證正規品 (正品) 與仿冒品的差異清晰照片。若無法提供相關證明,可以協助尋找第三方公正機關進行 精品鑑定服務
二、鐵壺漏水:古董類鐵瓶漏水,需要拍攝清楚漏水的地方,並提供照片。
三、運送損壞:若商品是於國際運送 (到自取點)時造成損壞,需要提供包裹的外箱 及 清晰的商品外箱損壞照片。

※ 註:提供給賣家的照片,請勿有中文相關資訊。
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