ERIC CLAPTON - ROYAL ALBERT HALL 1993 2ND NIGHT: DAT MASTER(2CDR)
Royal Albert Hall, London, England 21st February 1993 PERFECT SOUND(from Original Masters)
【93年ロイヤル・アルバート・ホール公演2日目の初登場高音質マスター!】
エリック・クラプトンの1993年ロイヤル・アルバート・ホール公演のオリジナル・マスター音源がまたしても当店独占にてリリースです。本作のマスターは、イギリス在住の有名なマニアが自身で録音したDATテープをダイレクトに使用したもので、1993年2月21日、初めてクラプトンがブルースカバーのみをステージ演奏したロイヤル・アルバート・ホール12日連続公演の2日目を非常に良好なステレオ・オーディエンス録音で完全収録したものです。
このソースは当店の完全オリジナルで、当店リリースの一連の既発ロイヤル・アルバート・ホール1993タイトルとセットリストは同じながら、当店リリース済みの6日目、7日目といった連続公演終盤の音源に対して、スタート直後、序盤の、クラプトンのアドリブプレイが堪能できるものです。Disc2 6/7trkの音質が、マイクの方向が変わったことにより悪くなる箇所がありましたので、ここのみ当店でイコライズを施し、違和感を軽減しています。そのためCDRでのリリースとなりますが、ドーム状の会場ならではの音鳴りは控え目で、各楽器、ボーカルを鮮明に捉えており、ハイレベルのステレオ・オーディエンス録音と断言できます(テープチェンジ箇所は楽曲に被っていません)。この日の音源は、海外でのみ私製のCDRでリリースされていたようですが、日本国内では初のリリースとなります。セットリストは連日変わらずとも、クラプトンのプレイは連日アドリブにより一つとして同じものはありませんので、むしろ他日の既発タイトルと聴き比べてもお楽しみいただけると思います。
この連続公演は、同年1月に行われた、クリームの「ロックの殿堂」入りの受賞記念演奏に続いて、この年初めての単独ライブとなっていました。その最初のライブで、クラプトンはこれまでになかった画期的な企画を打ち出したのです。それは、全セットをオールドブルースで構成するというものでした。前年の「アンプラグド」を経て、自身のキャリアと人生を内省的に顧みるという作業を行ったクラプトンは、原点に帰るという結論に達したのです。この公演は、その後のアルバム「From The Cradle」レコーディングのきっかけとなったという意味で、非常に貴重で重要な意味を持っていました。
この連続公演でクラプトンは、「From The Cradle」に収録するブルースナンバーの候補を決めようと考えていたのです。従って、ここで聴くことのできるナンバーは、昔から彼がカバーしたかったと考えていたという意味のみならず、バンドで演奏して、しっくりくるかどうかを見極める意味も含んでいました。そのため、後の「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」では取り上げられなかったレアなブルースがセットインしています。Alabama Women、Chicago Breakdown、 Long Distance Call、Blow Wind Blow、Key To The Highway、Tell Me Mama、Juke、Comin' Home、Meet Me In The Bottom、It's My Life、 All Your Loveといったナンバーは、94年~95年に実施された「Nothin’ But The Blues」ツアーではセットに組まれなかったため、ここでしか聴けないブルースカバーとなっています。
こうして見ると、クラプトンのブルースについての知見とマニア度は相当のレベルだったことが分かります。そこに経験が加わり、ここに至ったことを思うと、もはやどの曲を選ぼうとも「恐るるに足りず」という状態だったのではないでしょうか。さらには、Hear Me Callingは、クラプトン作のオリジナルブルースでした。この曲はその後スタジオレコーディングされることはないまま今日に至っていますので、非常に貴重なライブバージョンとなっています。
ショーの前半は、シンプルに原曲どおりの構成でプレイしていますが、ギターソロの比率が高くなる後半のLove Her With A Feelingあたりからは俄然熱を帯びてきて、クラプトンなりの解釈が冴え渡ります。各曲で聴かれるクラプトンのソロは、まさにブルースと同化しようとするかのような緊張感を孕んでいます。また、各曲の演奏前には、クラプトンが作者名と曲名を必ずアナウンスしており、ブルースに詳しくないオーディエンスを導こうという「伝道師」的な役割を自覚していたことが窺えます。
そうしたクラプトンの真摯な姿勢を実感できるという意味でも貴重な公演ですが、バンド・パーソネルもこの時だけのもので、リトル・フィートのドラマー、リッチー・ヘイワードを起用しているのは、この年終盤の日本公演と同じですが、ベースにはこの連続公演限定で、何とドナルド・ダック・ダンを85年から8年ぶりにメンフィスから呼び寄せていたのです。そして白人ながらディープなハーピスト、ジェリー・ポートノイもこの時期から起用していました。この面子でのステージは、スポット的意味合いをいろいろ含んだ興味深いものだったと言っていいでしょう。リズム・セクションをアメリカ人で固めた意図は、クラプトンの目指すブルースと無関係ではなかったはずです。
そしてAin't Nobody's Businessが既にこの時点でレギュラーセットのフィナーレに設定されていたことにもご注目ください。この曲のスタジオバージョンは存在しませんが、ラストナンバーに持ってきたことを考えると、クラプトンの特別なこだわりがあったのでしょう。後の「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」でのテイクと比べて、歌い出しの歌詞が異なっており、またラストのバンド全体による大団円的演奏パートが1コーラス分長いという違いがあります。従ってクラプトンは比較的ゆったりとしたフレーズのソロを弾いています。これが初期の姿だったのですね。ピアノだけをバックに切々と独唱を行い、ブレイク後にはバンド全体での演奏で大団円を迎えるという構成はこの時から変わっていませんでした。実に感動的です。
初リリースとなるオリジナル・マスター収録の本作でクラプトンのブルースをご堪能ください。「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」とはまた違った趣きがあります。
【ダイナミックドラマー、リッチー・ヘイワード参加の唯一のツアー】
この連続公演でドラムを務めたのは、リトル・フィートの故リッチー・ヘイワード(2010年死去)でした。クラプトンのキャリア上で彼がツアーのサポートドラマーを務めたのは、このRAH公演とジャパンツアーだけでした。クラプトンが彼をスカウトしたのは、88年と92年の二度、クラプトンがリトル・フィートのコンサートに飛入りして共演した実績があったからだと思われます。彼のダイナミックなドラミングを聴いて、惹かれたのでしょう。本作では、特にエレクトリックブルースにおけるパワフルなプレイを聴くことができます。ここでしか聴けない彼のプレイに酔いしれながら、偉大なるドラマーを追悼いただきたいと思います。
【アンコールには盟友ギタリスト、ジミー・ヴォーンが飛入り参加!】
クラプトンの指名により、この連続公演のサポートアクトは、クラプトンの友人でもあるジミー・ヴォーンのバンドが務めました。クラプトンと同じくブルースを愛するギタリストだけに、アンコールでは毎夜彼が飛入り参加し、ステージの最後を盛り上げていました。ここでも数々のブルースギタリストがカバーしているロバート・ジョンソンのナンバー、 Sweet Home Chicagoでクラプトンとヴォーンのソロ競演を聴くことができます。これは、ギターバトルというよりも和やかな共演という感じ。90年、91年の「ブルースナイト」にもクラプトンに招かれいたヴォーンは、こうして共演回数を重ねるごとに、クラプトンとの絆を深めていったのでしょう(この後ヴォーンは、94年~95年の「Nothin’ But The Blues」USツアーでもクラプトンと共演します)。二人の友情のステージもお楽しみください。
アコースティックブルースあり、エレクトリックブルースあり、メジャーブルースあり、マイナーブルースあり。言わばクラプトンのこの時点でプレイしたかったブルースの魅力がすべて詰まったステージ。初登場となる高音質の本作で、是非バラエティに富んだステージをお楽しみください。
Disc:1 (62:25)
1. Introduction
2. How Long
3. Alabama Women
4. Terraplane Blues
5. From Four Until Late
6. Kidman Blues
7. County Jail
8. 32-20
9. Chicago Breakdown
10. Hey Hey
11. Walking Blues
12. Long Distance Call
13. Blow Wind Blow
14. Key To The Highway
15. Tell Me Mama
16. Juke
17. Blues Leave Me Alone
18. Goin' Away
Disc:2 (61:29)
1. Coming Home
2. Meet Me In The Bottom
3. Forty Four
4. It's My Life
5. Love Her With A Feeling
6. Tore Down
7. Born Under A Bad Sign
8. Let Me Love You Baby
9. All Your Love
10. Groaning The Blues
11. Hear Me Calling
12. Ain't Nobody's Business
13. Sweet Home Chicago (with Jimmie Vaughan)
Eric Clapton - guitar / vocals
Andy Fairweather Low - guitar
Chris Stainton - keyboards
Jerry Portnoy - harmonica
Duck Dunn - bass
Richie Hayward - drums
Roddy Lorimer - trumpet
Tim Sanders - tenor saxophone
Simon Clarke - baritone saxophone
Uxbridge 2558