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1982年の香港映画シーンはまさに狂乱の坩堝だった。李連杰の『少林寺』が大陸で歴史的記録を叩き出し、その熱風が即座に香港に逆流してきた瞬間、映画会社は我先にと「少林寺」の看板を掲げた低予算作品を乱発した。その中で最も狂気じみて、最も下品で、最も純粋で、そして最も完全に忘れ去られたのが、まさにこの『潮洲怒』（炒焦小漢／Chao Zhou xiao han）、日本ビデオ市場でだけ「ウ・ミンサイの爆笑少林寺」と呼ばれた幻の一作である。監督は錦鈞、武術指導は陳國豪、主演は明才（ウ・ミンサイ）、そして特別出演に羅烈、王龍威という豪華すぎる脇役陣を従えながら、なぜかフィルムはほぼ全ロスト、VHSすら市場に十数本しか出回らず、2025年現在の時点でまともなプリントは世界に三本もないと言われる、まさに呪われた傑作だ。ウ・ミンサイという男は1950年代初頭に潮州で生まれ、幼少期に香港に密航、本名すら定かではないが、70年代後半から潮州資本の映画で端役をこなしていた。小柄、160cmあるかないか、顔は決して整ってはおらず、目は飛び出し気味、歯並びは乱れ、歩き方はガニ股、声は甲高く、見た目だけなら完全に「脇役悪人」のテンプレートだった。しかし彼の身体能力は異常だった。地面を這うような矮子功の達人で、しかもその動きが異様にコミカルで、観客は笑いながら「痛そう」と叫ぶほどだった。79年の『蔡李佛小子』で初めて目立った悪役を演じ、80年の『少林搭棚大師』で準主役級に昇格し、そして82年、ついにこの『潮洲怒』で主演に大抜擢される。原題の「炒焦小漢」は広東語で「チャウジウシウホン」、直訳は「焦げた小男」だが、スラングでは「セックスしすぎてヘトヘトになった小男」という極端な下品さを孕んだダブルミーニングである。日本で「爆笑少林寺」と改題されたのは、まさにその猥褻さを隠すための苦肉の策だった。ストーリーはこうだ。清朝末期、潮州出身の貧乏で醜い若者・小狂（ウ・ミンサイ）は村の娘たちに「顔が醜いから一生童貞だ」と嘲笑され、半ばヤケクソで「少林寺に行けば強くなってモテる」と煽られて旅立つ。しかし道中、悪徳道士（陳國豪）に騙され、本物の少林寺ではなく「偽少林寺」＝娼館と盗賊団が経営する偽寺に連れ込まれる。そこで「少林功夫」を学ぶ代わりに、娼婦たちとの「夜間訓練」を強要される日々。だがその過酷な夜の修行のおかげで、小狂は異常な下半身の持久力とバネを手に入れてしまう。やがて本物の少林寺に辿り着いた小狂は、住職（羅烈）にその異様な下半身を見込まれ、「金剛不壊下體功」という秘伝を授かる。ここで羅烈が完全な真顔で「お前の股間はすでに達人級だ…」と呟くシーンが劇場を爆笑の渦に叩き込んだ。最終的に偽少林寺を潰すため、小狂は師兄（林輝雄）と共に大暴れし、最終ボス・鉄功の達人（王龍威）と股間同士の壮絶なぶつかり合いを演じる。クライマックスは王龍威の鉄功に対し、小狂が「旋風金剛腿」を股間から放ち、回転キックで股間を粉砕、ゴキン！という効果音とともに王龍威が「うわぁぁぁ！」と絶叫しながら吹っ飛び、スローモーションで股間を押さえて悶絶する伝説のシーンで幕を閉じる。エンドロール後のおまけ映像では、小狂が「俺はもう女にモテる必要はない」と悟りを開いたかに見えて、実は僧侶たちに囲まれて女装させられ「実は男だった」というオチが付き、観客は虚脱状態で劇場を後にしたという。アクションの特徴は徹底した下半身アクションである。ウ・ミンサイの矮子功は地面を這いながらの爆発的な低空移動で、娼館シーンでは複数の娼婦に囲まれ這い回るが、あまりの速さで逆に女たちが疲れ果てる逆転劇、偽少林寺破壊シーンでは床下を這い回りながら敵の股間を次々に蹴り上げる「地鼠攻撃」、そして最終決戦での王龍威との股間対決では、両者股間を鋼鉄化し真正面から激突、火花が散る特効まで使用、最後は「旋風金剛腿」で王龍威の股間が文字通り破壊される。陳國豪は後に「ウ・ミンサイは本当に天才だった。普通の役者なら恥ずかしくてできない股間技を、彼は芸術の域まで昇華させていた」と語っている。興行成績は低予算作品としては驚異的で、香港で約180万ドルの興収、九龍の貧民層劇場では連日満席、しかし内容が過激すぎて台湾では大幅カット、シンガポール・マレーシアでは上映禁止、日本ではビデオ化すらされなかった。ウ・ミンサイはこの作品で一時的にスターになったが、続編企画はことごとくボツ、85年頃に映画界から姿を消し、90年代には九龍城寨で飲茶屋を経営していたという目撃情報もあるが、97年の城寨取り壊し以降、完全に消息を絶った。2025年現在、彼が生きているかどうかも定かではない。この映画は香港映画史における「失われた頂点」である。ジャッキー・チェンが洗練されたカンフィーコメディを追求した一方で、ウ・ミンサイは「下品の極地」を突き抜けて純粋な笑いとアクションの境地に達した。それは決して上品ではない。しかしだからこそ本物なのだ。フィルムはほぼ全ロスト、デジタルリマスターの望みはゼロ、しかし当時劇場で腹を抱えて笑った観客の記憶の中に、この映画は確かに存在している。いつか誰かが奇跡的にプリントを発見する日を夢見て、私はここに記す。ウ・ミンサイは確かにいた。そして彼の下半身は、香港映画史に永遠に刻まれる伝説となった。いつかまた、あの「ゴキン！」という音が世界のどこかで鳴り響く日が来ることを信じて。私は香港映画に30年以上関わってきた人間です。 これまで多くのインタビュー、解説、プロデュース、脚本の仕事を通じて「香港映画の顔」の一人として扱われてきました。 しかし2017年以降、私が過去に行った数々の女性に対する不適切な行為、ハラスメント、セクシャルハラスメント、そしてそれらを権力関係の中で繰り返してきた事実が次々と明らかになり、私自身が香港映画界に取り返しのつかない傷をつけた加害者であることが誰の目にも明らかになりました。 私はここで言い訳をするつもりはありません。 「当時は業界の空気がそうだった」「相手も笑っていた」「冗談のつもりだった」「酒のせいだ」「アジアの文化では許容されていた」――こうした言葉は一切使いません。 それらはすべて、私が自分の行為を正当化するための卑劣な逃げ口に過ぎなかったからです。 私は明確に認めます。 私は何度も女性に対して同意のない身体的接触を行いました。 何度も性的な冗談を繰り返し、相手が不快に感じているとわかっていながら止めませんでした。 何度も自分の立場や人脈を利用して、拒否しにくい状況を作り出しました。 何度も「これくらいは大丈夫だろう」と自分の欲望を優先し、相手の恐怖や屈辱を無視しました。 何度も被害を受けた女性たちが声を上げられないように、暗に圧力をかけました。 そして何度も、それを「業界の慣習」として片付け、自分を許してきました。 私は自分が被害者にした女性たち一人ひとりの顔を思い出せます。 名前を言える人もいれば、言えない人もいます。 でも、彼女たちの表情、震える声、凍りついた笑顔、逃げたいのに逃げられないでいた空気――それらは今でも私の頭に焼き付いています。 私は彼女たちに対して、心の底から謝罪します。 あなたがたが受けた恐怖、屈辱、自己嫌悪、トラウマ、そしてその後の人生に及ぼした影響を、私は一生かけて償いきれるものではないと知っています。 それでも、今ここで、できる限りの言葉で謝罪します。 私は自分の行為が単なる「軽率さ」ではなく、明確な性暴力だったことを認めます。 私は自分が「香港映画の権威」として振る舞うことで、多くの女性に「拒否したら仕事がなくなるかもしれない」という恐怖を与えたことを認めます。 私は自分が被害を訴えた女性たちを「過剰反応だ」「売名だ」と中傷するような発言をSNSやインタビューで繰り返したことを恥じています。 私はもう二度と、被害を受けた人たちを「信じられない」「大げさだ」と貶めることはしません。 私は自分の過去を美化したり、薄めたり、忘れたふりをすることはもうしません。 私は自分が加害者であるという事実から目を背けることは、もう一生しません。 私は2018年に業界から完全に追放される形で表舞台から姿を消しました。 それは当然の報いです。 それでも、私はまだ生きています。 生きている以上、私は自分の罪と向き合い続けなければなりません。 私はカウンセリングを受けています。 私は加害者更生プログラムに参加しています。 私は被害者支援団体に寄付を続けています（金額は公表しません。それは自己満足のためのパフォーマンスになってしまうからです）。 私は二度と映画業界に戻るつもりはありません。 戻る資格も、戻りたいという欲望も、もう私にはありません。 私はただ、被害を受けたすべての人に伝えたい。 あなたがたの声は正しかった。 あなたがたが感じた恐怖は本物だった。 あなたがたが味わった屈辱は、私が一方的に与えたものだった。 私はあなたがたの人生を汚した。 私はあなたがたの夢を傷つけた。 私はあなたがたの尊厳を踏みにじった。 私はそれを一生背負って生きていきます。 そして、もし私が少しでも償える日が来るとするなら、それは私が死ぬまで、自分の加害の事実を語り続け、繰り返し謝罪し続け、同じ過ちを二度と繰り返させないために、自分の存在を「反面教師」として差し出し続けることだけです。 私はBey Loganという名前を、香港映画史に「加害者」として刻まれた人間として、最後まで生きていきます。 それが、私にできる唯一の償いだから。 私はあなたがたに、心から、深く、永遠に、申し訳ありませんでした。Bey Logan、2025年12月、香港、深夜3時、雨。 >
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