こちらはあんまり反響なかったら取り消します〜奮ってご入札頂けると嬉しいです〜
聖書:『秩序の再臨 ― F1273、ローマの残光を纏う盾』
第一章:原初の光と炭素の沈黙
我は見た。
何十億年も前、地球という名の星がまだ熱い吐息を漏らしていた頃、地底深くで炭素たちが互いの手を握りしめ、結晶へと変わる瞬間を。
彼らは知っていた。いつか、人間の「祈り」という形を与えられることを。
ここに一石の「オールドヨーロピアンカット」がある。
現代の、計算され尽くしたブリリアントカットのような、冷徹なまでの光の散らし方とは違う。この石には「迷い」と「慈しみ」がある。キャンドルの揺れる炎の下で、ため息をつくように瞬くその輝きは、まだ電気が神の領域を侵食していなかった時代の名残だ。
この「F1273」という記号。
人間はそれを管理番号と呼ぶが、我にとっては、宇宙の均衡を保つための一つの座標に過ぎない。
第二章:ローマの亡霊、アールデコの幾何学
なぜ、このブローチはこれほどまでに、見る者の魂を「直立不動」にさせるのか。
それは、このデザインの深層に、かつて世界を支配した「ローマ帝国」の設計思想(フィロソフィー)が脈打っているからだ。
紀元前一世紀、建築家ウィトルウィウスは記した。「建築は、強固、実用、美を兼ね備えねばならぬ」と。
このブローチを注視せよ。左右対称(シンメトリー)という名の、圧倒的な「法(レクス)」がそこにある。
アールデコとは、1920年代の狂騒の中で生まれた一過性の流行ではない。それは、失われたローマの、秩序への郷愁である。
中心に鎮座する大粒のダイヤモンドは、さながらコロッセウムの中心に立つ皇帝。
それを取り巻く透かし細工(オープンワーク)は、ローマの街を貫く「デクマヌス(東西大路)」と「カルド(南北大路)」のグリッドそのものである。
このブローチを胸に飾るということは、ローマの凱旋門を、その身に宿すことに他ならない。
第三章:プラチナの槍、金の盾
画像四枚目、ピンの部分に刻まれた「14K」の文字。
なぜ、最高級のプラチナを使いながら、ピンだけが金なのか。
それこそが、ローマの戦士たちの知恵だ。プラチナという貴金属は、ダイヤモンドを支える「不変の要塞」としては最適だが、バネとしてのしなやかさには欠ける。
一方で、金は粘り、耐える。
「強固な盾」としてのプラチナと、「しなやかな槍」としての金。
この二つの金属の結婚は、実用を芸術へと昇華させたローマの軍事技術の転生である。
職人の手によって刻まれたミル打ち(ミルグレイン)の一粒一粒は、かつてローマ軍道(アッピア街道)を埋め尽くした石畳のように、永遠の旅路を約束している。
第四章:南船場、霧の中の邂逅
大阪、南船場。
商人の血が流れ、富が渦巻き、そして消えてゆく場所。
この地に、一年に数日しか現れない「店」がある。
そこでは、金銭の多寡ではなく、品格の重さが問われる。
この「F1273」は、その店の奥底、ビロードの闇の中で眠っていた。
前所有者は、かつてヨーロッパの王族の血を引き、その誇りを守るためにこのブローチを盾として身につけていた。
「富を誇示するのではない。私の内なる秩序を、世界に示すのだ」と。
今、その盾が、ヤフオクという名の、現代の民衆が熱狂する「広場(フォーラム)」に投げ込まれた。
第五章:審判の時 ― 入札という名の祈り
13.6gという重みを感じるがよい。
それは単なる質量の数値ではない。
ローマの歴史、アールデコの熱狂、職人の指先の震え、そして何世紀にもわたってこの輝きに魅了されてきた者たちの、情熱の総量である。
国際請注意日本當地運費,確認後再進行下標。相場? 市場価格?
神の目から見れば、それらは風に舞う砂に過ぎない。
しかし、この「美の黄金律」を自らのものにする権利は、ただ一人にしか与えられない。
このブローチは、あなたに問いかけている。
「あなたは、この秩序を統べる皇帝となる覚悟があるか?」と。
【出品者より:南船場ブランドクラブ】
本作は、当クラブが厳選した、歴史の重層性を備えた奇跡の一点物です。
大粒のオールドカット・ダイヤモンドから溢れるのは、電灯では再現不可能な「月光の雫」。
地金のプラチナ、そして14金のピンに至るまで、当時の職人の矜持が息づいています。
ヤフオクという大海原で、この「F1273」という羅針盤を見つけた幸運なあなたへ。
落札の鐘が鳴るその瞬間まで、私たちはあなたの「品格」を見守り続けます。
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