サンヨー SS-58
インパクト・スチロール樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、バッフル効果、美観において理想のラジオキャビネット材料として
サンヨーにより導入されました。同社で「サンヨープラスチックラジオ・シリーズ」としてキャンペーン展開した一連の
製品のなかに本機は存します。
特にSS-58型は、月産2万台を可能にした住道工場の生産合理化によって、従来コストの二分の一の原価低減は、
念願の海外展開に道を開くものであったとされます。
後発メーカーのサンヨーが、マーケットにインパクトをもたらし始めたこの時期の、技術陣の熱気を、
販促誌「サンヨーコンパス」の誌面は今によく伝えてくれます。
そこで、同誌の記事「SS-58型5球スーパーの機構と特質」から本機の特徴を拾い出してみます。
・15:1のダイアル減速比
・ナイロン被覆ガラス易碎品限空運,非易碎品可使用海運。 繊維のダイアルロープ
・本機のために開発した5インチ(12.5cm)スピーカー
・0.9mm厚鋼、ユニクロメートメッキ+防錆処理のシャシー
・オートトランス採用の6.3Vミニアチュア管仕様
・ハイインピーダンス型アンテナコイルによるハイゲイン、高感度
・中間周波増幅管6BD6のバイパスコンデンサ省略、負帰還による動作安定化
・フローティングアース方式の採用
特にハイインピーダンス型アンテナコイルについては、入力電圧20μV前後という高感度であること、
特性が全周波数帯域で偏りなく平坦であることを紙面を割いて訴求しています。
その他、スピーカーについて、比較的小口径ながらも高低音のバランスが整った歯切れのよい音であることを
特記しています。その通りの優れた音質で聴きやすいラジオだと感じます。
また、本機のシャシーは、ユニクロメート特有の変な錆が無く、防錆処理が効いています。
受信については、兵庫県の工房にて、普通は受信に難がある毎日放送(1179kHz)がクリアに入りました。
アンテナコイルのこだわりは実効を伴っている様です。
以上のことから、本機は開発者の意図が奏功した良い製品だと思う次第です。
本機に対して私が行った処置を記します。
・ペーパーコンデンサ交換
・電源コード交換
・樹脂研磨(取り切れない傷は残ります) 、静電気防止処理
・ゴールトトリム リペイント
本機は単巻トランスで200Vを給電するセミ・トランスレス形式です。
5V巻線は整流管 5M-K9
6.3Vタップにて6BE6(周波数変換)、6BD6(中間周波増幅)、6AV6(第二検波、電圧増幅)、6AR5(出力)です。
出品物は6AV6が、世代の古いの6AT6に替えられていますが面白いのでそのままにしています。
トランスを抱えて、ズッシリ重いセットですが、家形のチャーミングなフォルムが魅力の一台。
ぜひご検討くださいませ。
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