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定価880円本の状態に悪い点全く無し
商品の説明 レビュー この小さくて薄い本は、1939年に大学院の講義で紹介され、 1965年の初版が刊行された半世紀の歴史を持つ不朽の名著である。 著者のジェームス・W・ヤングは、前書きで次のように述べる。 「このテーマは本来専門の心理学者の手がけるべきものだが、私は心理学者ではない。 従って私のこの小論は、人がアイデアと呼んできたものを作り 仕事でくらしをたてる以外に能がなかった人間の個人的な経験談としての価値しかない。」 ヤングは、少年時代から数々の仕事を経験した後、26歳で広告業界に身を投じ、 数々の斬新な広告のアイデアで頭角を表したが、42歳という若さで引退している。 本書は、 「人はどのようにしてアイデアを手に入れることができるのか」 という疑問に正面から答えようとしており、2つの原理を出発点としている。 一つ目は、 「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」 そしてもう一つは、 「新しい組み合わせを作り出す才能は事物の関連性を見つけ出す才能に依存する」 というものだ。 当たり前のようにも感じるが、原則なのだから当たり前で良いのだろう。 著者はこう論じる。 アイデアは、「材料収集」→「材料の消化」→ 「孵(ふ)化」→「誕生」→「検証と発展」という過程で作られる、と。 この中では、「孵化」の部分が特徴的だ。 つまり、あれこれと情報を加工して思考を巡らせた後で、 問題を放り出し、できるだけ問題を心の外に追い出してしまうのである。 そして、十分に孵化した時点で、 「ふとした瞬間」にあたるアイデアの誕生の時が自然にやってくるのだという。 なるほど、確かに問題にぶち当たって、考えに考え抜いている時には、 ちっとも良いアイデアが浮かばない。 が、その問題を忘れた頃、何気ない瞬間に不意に 「わかった! これだ!」ということを多くの人が何度も経験しているのではないだろうか。 ところで、本書の解説を地球物理学者の竹内均氏が書いているが、 その中にも興味深い記述がある。 「ある問題について本を書くには、その問題に関係した話題を約100集めればよい。 一冊あたり原稿用紙の数約300枚を約100で割ると、 1つの話題あたりの原稿用紙の枚数は約3枚になる。 これは新聞の連載小説1回(1日)分の原稿量でもある。 というわけで私は、ある問題に関係した1つの話題を原稿用紙3枚にまとめたものを断片と呼び、 こういった断片をうまずたゆまず作り続けている」という“下り”である。 ちなみに、この本の紹介文も1冊の本あたりそれぞれ原稿用紙3枚程度となっている。 1つの事柄を解説し、言いたいことを伝えるのに、長くもなく短くもない、 丁度よい長さではないかと自分では思っているのだが、読者の皆さんはいかがだろうか。 --Nikkei BP Net/ 内山悟志
著者について 著者:ジェームス・W・ヤング(James Webb Young) 1886年-1973年。アメリカ最大の広告代理店・トムプソン社の常任最高顧問、アメリカ広告代理業協会の会長などを歴任。広告審議会(AC)の設立者で元チェアマン。訳者:今井茂雄(いまい・しげお) 1920年大阪生まれ。大阪商科大学(旧制)卒業後、毎日新聞社(大阪)入社。その後、1961年サントリー株式会社に入社、宣伝部勤務。1982年同社退職後、著訳活動に入る。訳書に『プレゼンテーション・成功の秘訣13』(阪急コミュニケーションズ)などがある。
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