三保松原(みほのまつばら)は、静岡県静岡市清水区の三保半島にある景勝地。御穂神社の鎮守の杜として守られてきた。その美しさから日本新三景(大沼、三保松原、耶馬溪)、日本三大松原(三保松原、虹の松原、気比の松原)のひとつとされ、国の名勝に指定されている[1]。また、ユネスコの世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産に登録されている。また、2020年(令和2年)6月19日には、文化庁の「日本遺産」のストーリー『日本初「旅ブーム」を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅~滑稽本と浮世絵が描く東海道旅のガイドブック(道中記)~』の構成文化財の1つに認定された[2]。
なお、国の名勝としての指定名称および世界文化遺産・構成資産一覧,日本遺産構成文化財一覧では「三保松原」と表記され[1][2][3]、表記にゆれが存在する。新聞等ではハンドブックにより「三保の松原」で表記を統一しているところもある[4]。
概要
平安時代から親しまれている三保半島の東側に広がる景勝地である。総延長7キロメートルで、5万4000本の松林が生い茂る海浜と、駿河湾を挟んで望む富士山や伊豆半島の美しい眺めで有名。歌川広重の『六十余州名所図会』「駿河 三保の松原」を始めとする浮世絵にも描かれている。
また、日本最古の和歌集である『万葉集』に、
廬原乃 浄見乃埼乃 見穂之浦乃 寛見乍 物念毛奈信
(廬原いほはらの 清見の崎の 三保の浦の ゆたけき見つつ 物思ひもなし)
— 田口益人、『万葉集』巻3-296
と詠まれて以降、多くの和歌の題材となり、謡曲『羽衣』の舞台にもなっている。
三保半島は、安倍川から海へと流された土砂が太平洋の荒波に運ばれ、日本平を擁する有度山を削りながら出来た砂嘴である。何百年にわたり流された土砂(漂砂)が静岡海岸、さらには清水海岸に100メートルを超える幅の砂浜を作り、現在の清水港を囲む三保半島、および三保の松原の砂浜を形成した。
羽衣伝説の舞台でもあり、浜には天女が舞い降りて羽衣をかけたとされる「羽衣の松」があり、付近の御穂神社(みほじんじゃ)には羽衣の切れ端といわれるものが保存されている。なお、三保松原は、御穂神社の鎮守の杜である。羽衣の松には毎年元日の朝に大勢の人々が集い、伊豆半島の山々から昇る初日の出を拝んでいる。
保全状況
三保海岸は、松林が生い茂る海岸と富士山の撮影スポットとして有名
清水港周辺の空中写真。画像右側(東側)の砂浜に見える松林が三保の松原。1983年撮影の12枚を合成作成。
国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)(現・地図・空中写真閲覧サービス)の空中写真を基に作成。
名勝三保松原
1922年(大正11年)3月8日、史蹟名勝天然紀念物保存法(文化財保護法の前身のひとつ)により、天橋立とともに日本初の名勝に指定された[5]。名勝指定時の面積は339.8ヘクタール(国有地62.8ヘクタール、公有地14.3ヘクタール、民有地261.3ヘクタール)、松の本数は9万3千本(一説には12万本)あったが、第二次世界大戦中の松根油の採取による松林の伐採や、第二次世界大戦後の民有地開発などにより、1991年(平成3年)3月時点では198.2ヘクタール(国有地42.8ヘクタール、公有地14.3ヘクタール、民有地139.7ヘクタール)、松の本数も5万4千本に減少[6]。2014年2月23日の「富士山の日」イベントで松の本数を調査した結果は3万699本であり、25年前とに比べて2万本以上も減少していることがわかった[7]。
名勝指定時の範囲(地名は大正11年3月8日内務省告示第49号の表記による)
静岡県安倍郡三保村大字三保
字池、出来輪田、廣道、掛脇、榎窪、大山、宮方、羽衣脇、八木ノ全部
静岡県安倍郡三保村大字折戸
字内原上、前内原、東濱砂、濱砂、奥内原、東濱砂上ノ全部
静岡県安倍郡不二見村大字駒越
字東濱砂、中濱砂、西濱砂、新山ノ全部
1977年(昭和52年)の文部省告示第44号(名勝三保松原の一部指定解除)と1990年(平成2年)の文部省告示第31号(名勝三保松原の追加指定及び一部指定解除)により、前述の通り名勝指定の範囲は減少している。
なお、名勝に指定されている範囲には「名勝三保松原規制地区」が設定されており、現状を変更する際には許可が必要である[8](文化財保護法第125条)。規制地区は、
特別規制A地区(海岸の浜地)
特別規制B地区(松が密生する範囲)
第1種規制地区(特別規制B地区の周囲にあって松が生育している範囲)
第2種規制地区(第1種規制地区の外側にあって松が散在する地域)
第3種規制地区(規制の緩衝地域)
の5つに区分され、松原を形成する「特別規制B地区」の規制が最も強く、これを取り巻くように規制が緩くなっている。許認可は、静岡市が策定した「保存管理計画」(2010年改訂)に基づいて判断され、特別規制A、B地区は国(文化庁長官)、その他の地域は静岡市の許可が必要である[9]。
風致地区等
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